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オークス 実績断然の白毛馬ソダシに死角はないのか

東京競馬場のパドック

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 桜花賞馬が圧倒的な存在と目されるオークス。下剋上はあり得るのか。競馬ライターの東田和美氏が分析した。

 * * *
 2019年のラヴズオンリーユーが、カワカミプリンセス以来13年ぶりの「無敗のオークス馬」になったと思ったら、昨年のデアリングタクトは桜花賞との2冠を史上初めてデビューから4連勝で飾った。

 そして今年のソダシはすでに5戦5勝、1800mの札幌2歳Sと、1600m桜花賞はレコード勝ち。阪神JFも勝っておりGⅠ2勝。この時期これほどの数字を持っていた3歳牝馬は初めて。ここを勝てば3年連続で無敗のオークス馬誕生となり、6戦6勝の、2歳チャンピオンにもなっている史上初の2冠馬になる。

 しかも同じローテーションを経て競り合ってきたサトノレイナスがダービーに矛先を変えた。ソダシの強さを身に染みて知っている陣営が、同条件でソダシと闘うよりも、2キロ減で牡馬と走った方が勝算ありと判断したということだ。

 白毛人気もあって断然の1強ムードで迎える今年のオークス。ここでは無理を承知でイチャモンを付けてみる。

 平成以降、中央で5勝以上あげてオークスに臨んだ1番人気馬は5頭。いずれも桜花賞馬だが、それまで全勝だったアグネスフローラを始め、1頭も勝っていない。また4勝していた1番人気馬は7頭。うち3頭はオークス馬になっているが、全勝だった2頭、シスタートウショウとダンスインザムードは敗れている。ちなみにここ3年の女王は3連勝での戴冠、カワカミプリンセスも3戦3勝だ。

 もちろん強いからこその連勝だが、どこかで“ガス抜き”をすることも必要なのかもしれない。シーザリオやシンハライト、ソウルスターリングなどは、それが桜花賞だったような気がする。5連勝でGⅠを迎える陣営の重圧は、並大抵のものではない。

 今回懸念材料とされているのが血統面。芝適性については問題なさそうだが、距離適性に関しては未知数だ。クロフネ産駒のGⅠ馬はソダシを含めて7頭で9勝だが、すべて1600m以下でのもの。2200mを超える平地のレースでの重賞勝ちはなく、ゴールデンハインドがオープンを2勝しているだけで、他はすべて条件戦だ。

 父クロフネもNHKマイルカップでは圧勝したが、その後のダービーと神戸新聞杯では敗れている。オークスではホエールキャプチャが、ダービーでもブラックシェルが3着に来ているだけだ。

 陣営では当初から、桜花賞よりオークス向きと見ていたというが、他の馬も含めて、走ってみなければ分からないところはある。

 吉田隼人騎手は3年ほど前から、美浦に所属しながら拠点を栗東に移し、ローカル開催を中心に関西馬に騎乗することが多くなった。昨年は91勝をあげてリーディング7位。今年も先ごろ通算1000勝を達成、ここまで5位と関東所属騎手ではトップの成績。重賞21勝、ソダシの他ゴールドアクターで有馬記念を勝つなどGⅠを3勝している。

 37歳、心身共に今が充実期と言ってもいいが、今回のソダシほど人気を背負ってGⅠに臨むのは初めて。ソダシは最優秀2歳牝馬に選出されながら、桜花賞での1番人気はサトノレイナスに譲って3.6倍の2番人気だった。初重賞の札幌2歳Sは2番人気、その後の2重賞も1番人気ではあったが3倍台だった。

 吉田隼騎手はこれまでG1に63回騎乗しているが、1番人気に推されたのは2回しかない。そのうちの1回が昨年の阪神JF。人気に応えているが、2016年の天皇賞(春)ではゴールドアクターが12着に敗れている。

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