「進学重点校」以外の東大合格は狭き門
「学区撤廃」に加えて公立高校の地盤沈下を回復する手段として打ち出されたのが「進学重点校指定」である。
東京都が2001年に日比谷、戸山、西、八王子東の4校を「進学指導重点校」にしたことが始まりで、その後、青山、立川、国立を追加指定した。
他県でも似たような指定があり、神奈川県は横浜翠嵐、柏陽、湘南、厚木、川和の5校が「学力向上進学重点校」に指定されている。千葉県にも「進学指導重点校」があり、木更津、佐原、千葉東、長生、県立船橋、安房、佐倉、成東、匝瑳、県立柏の10校で、各学区にまんべんなく指定校があるのが特徴だ。
その結果どうなっているか、東京都の例を紹介しよう。
「学区撤廃」「進学重点校指定」といった施策前の2003年の都立高校全体の東大合格者数は80名だった。それが2021年は136名に増えている。このうち「進学指導重点校」指定前の7校からの合格者は61名だったものが倍以上の126名に増えている。
逆に、2003年には7校以外からの東大合格者も19名いたのに、2021年は10名に減っている。つまり「進学指導重点校」7校は大きく伸びたのに対し、それ以外からは一段と「狭き門」になったことがわかる。