国内

田中角栄、実刑判決後に最多得票獲得 中央での批判に地元有権者が対抗

田中角栄は実刑判決後の選挙でも躍進(時事通信フォト)

田中角栄は実刑判決後の選挙でも躍進(時事通信フォト)

 不屈の精神で危機を乗り越える姿に、人々は熱狂する。遡れば昭和の時代、戦後復興や経済発展を遂げ、国体も成熟するなか、日本でも様々なドラマがあった。

 昭和の政治家には、スキャンダルに潰されてなるものかという気概があった。田中角栄は、1983年10月にロッキード事件の一審判決で懲役4年、追徴金5億円の実刑判決を受けたにもかかわらず、2か月後の総選挙に出馬。

 結果は、過去最多となる22万票を獲得してトップ当選を果たした。2~5位の得票数総計をも上回る凄まじい圧勝だった。当時、秘書を務めていた朝賀昭氏が振り返る。

「一般有権者のお宅を訪ねると、『角さんはうちらのためによくやってくれた。今までは私らも立場があって、入れなきゃならないところがあったが、今回は恩返し。角さんに入れるよ』と言ってくれました。越後のためにやってくれた田中角栄が、あれだけ中央で叩かれている。それに対する対抗心を見せてくれた。

 雪が降るなか、田中の街宣車が通る予定の橋のたもとにムシロを敷き、ドテラを着て毛布をかぶって待っている爺さんもいました。聞くと、脳卒中で動けないので、ずいぶん前に家族に連れてきてもらったのだと言う。『冥土の土産に演説を聞くんや』と言っていました。田中の到着が遅れ、雪がみぞれに変わっても、じっとそこで待っている。その姿に目頭が熱くなりました」

※週刊ポスト2021年6月4日号

1983年、事件後も越後人は角さんを見放さなかった(写真/共同通信社)

1983年、事件後には角栄人気は残った(写真/共同通信社)

関連キーワード

関連記事

トピックス

昭和館を訪問された天皇皇后両陛下と長女・愛子さま(2025年12月21日、撮影/JMPA)
天皇ご一家が戦後80年写真展へ 哀悼のお気持ちが伝わるグレーのリンクコーデ 愛子さまのジャケット着回しに「参考になる」の声も
NEWSポストセブン
訃報が報じられた、“ジャンボ尾崎”こと尾崎将司さん(時事通信フォト)
《ジャンボ尾崎さん死去》伝説の“習志野ホワイトハウス豪邸”にランボルギーニ、名刀18振り、“ゴルフ界のスター”が貫いた規格外の美学
NEWSポストセブン
西東京の「親子4人死亡事件」に新展開が──(時事通信フォト)
《西東京市・親子4人心中》「奥さんは茶髪っぽい方で、美人なお母さん」「12月から配達が止まっていた」母親名義マンションのクローゼットから別の遺体……ナゾ深まる“だんらん家族”を襲った悲劇
NEWSポストセブン
シーズンオフを家族で過ごしている大谷翔平(左・時事通信フォト)
《お揃いのグラサンコーデ》大谷翔平と真美子さんがハワイで“ペアルックファミリーデート”、目撃者がSNS投稿「コーヒーを買ってたら…」
NEWSポストセブン
愛子さまのドレスアップ姿が話題に(共同通信社)
《天皇家のクリスマスコーデ》愛子さまがバレエ鑑賞で“圧巻のドレスアップ姿”披露、赤色のリンクコーデに表れた「ご家族のあたたかな絆」
NEWSポストセブン
1年時に8区の区間新記録を叩き出した大塚正美選手は、翌年は“花の2区”を走ると予想されていたが……(写真は1983年第59回大会で2区を走った大塚選手)
箱根駅伝で古豪・日体大を支えた名ランナー「大塚正美伝説」〈3〉元祖“山の大魔神”の記録に挑む5区への出走は「自ら志願した」
週刊ポスト
12月中旬にSNSで拡散された、秋篠宮さまのお姿を捉えた動画が波紋を広げている(時事通信フォト)
〈タバコに似ているとの声〉宮内庁が加湿器と回答したのに…秋篠宮さま“車内モクモク”騒動に相次ぐ指摘 ご一家で「体調不良」続いて“厳重な対策”か
硫黄島守備隊指揮官の栗林忠道・陸軍大将(写真/AFLO)
《戦後80年特別企画》軍事・歴史のプロ16人が評価した旧日本軍「最高の軍人」ランキング 1位に選出されたのは硫黄島守備隊指揮官の栗林忠道・陸軍大将
週刊ポスト
米倉涼子の“バタバタ”が年を越しそうだ
《米倉涼子の自宅マンションにメディア集結の“真相”》恋人ダンサーの教室には「取材お断り」の張り紙が…捜査関係者は「年が明けてもバタバタ」との見立て
NEWSポストセブン
死体遺棄・損壊の容疑がかかっている小原麗容疑者(店舗ホームページより。現在は削除済み)
「人形かと思ったら赤ちゃんだった」地雷系メイクの“嬢” 小原麗容疑者が乳児遺体を切断し冷凍庫へ…6か月以上も犯行がバレなかったわけ 《錦糸町・乳児遺棄事件》
NEWSポストセブン
11月27日、映画『ペリリュー 楽園のゲルニカ』を鑑賞した愛子さま(時事通信フォト)
愛子さま「公務で使った年季が入ったバッグ」は雅子さまの“おさがり”か これまでも母娘でアクセサリーや小物を共有
NEWSポストセブン
ネックレスを着けた大谷がハワイの不動産関係者の投稿に(共同通信)
《ハワイでネックレスを合わせて》大谷翔平の“垢抜け”は「真美子さんとの出会い」以降に…オフシーズンに目撃された「さりげないオシャレ」
NEWSポストセブン