ありがたいことに、僕は名の知れた両親の元に生まれた。正直、普通の家に生まれたいと何度も思った。でも、外から見れば、恵まれていると思うだろう。日本に帰国してすぐに、たくさんのメディアに取り上げてもらった。でも、僕には他の靴職人にも世間にも負けない自信があったし、触れてもらえば絶対にわかる作品を創り出す自信があったから、きっかけが親だろうと何だろうと、良いと思ってきた。
何事もメリットがあれば、デメリットも同じだけある。良いことも悪いことも、大きく取り上げられるのは仕方ない。
僕はまだまだ未熟者で、もっともっと、もっと、向上しなくてはならない。それでも、今の僕だから発信できることがある。自分が成長するためには、一番嫌な所を見つける人が必要だ。それが西さんであると信じているし、西さんが包み込まれるほどの「圧倒的な靴職人の姿を見せつけたい」と思った。
どうせメディアで揚げ足を取られるくらいなら、自分の靴作りの姿を知っている人に書かれた方がマシだ、と思う。西さんに書かれたら仕方ない、と思えるほど、僕は彼に、靴職人としての魂をすり込みたい。
その先に、僕が目指す職人像があると信じている。
■花田優一(靴職人・タレント)