1回充電の航続距離300kmならノーストレス

 筆者は2019年、アリアのベーシックモデルに近い62kWhのバッテリーを搭載する「リーフe+」で4200kmツーリングを試みたさい、この90kW充電器を幾度か試してみた。30分で充電できた電力量は最高で28.7kWh。走行距離にして約200km相当である。が、バッテリーのコンディションによってはもっと低く、悪い時は24kWh弱しか入らなかった。

62kWh電池パックを搭載した「リーフe+」。充電が楽になり、走り心地は驚くほど向上した。アリアはこれ以上が期待できる。

62kWh電池パックを搭載した「リーフe+」。充電が楽になり、走り心地は驚くほど向上した。アリアはこれ以上が期待できる。

 アリアは日産車として初めて、バッテリーのコンディションを整える温度管理システムが採用される。リーフが高速充電を繰り返したり高負荷走行を長時間行うと充電特性が悪くなる原因は冷却システムを持たず、バッテリーの温度が上がること。

 バッテリーは冷たすぎても性能が落ちる。アリアが冬季の性能確保を視野に入れてバッテリーヒーターも装備しているかどうかはつかめなかったが、バッテリークーラーが装備されるだけでもユーザーにとっては朗報というものだろう。90kW機で安定的に30分あたり30kWh前後の充電量が確保できることを期待していい。

 最大電流265アンペアを流せる新しい充電器の設置が始まると、アリアのアドバンテージはさらに大きくなるだろう。

 アリアのバッテリーパックの定格電圧は現時点では不明だが、おそらく360ボルト程度であろう。電流と電圧の掛け算で算出できる電力の最大値は約95kW。アリアのベースモデルの65kWh電池パックであれば、30分で35kWhくらい入るのではないか。電力消費率を1kWhあたり6kmと厳しめに見積もっても210km相当である。

 高容量の90kWh電池パックのほうは、おそらくそれより多くの充電が可能になる。65kWhだとバッテリーの充電率がすぐに高くなり、流せる電流が小さくなってしまうが、90kWhの容量があると最大電流が流れる時間が長くなり、その後の電流の低下も小さくなるからだ。30分で40kWhくらい充電できれば1kWhあたり6kmの電力消費率で240km、ちょっと優しめに7kmとすると280km相当にあたる。

 もちろんこれでも普通のガソリン車、ディーゼル車のSUVに比べれば航続性能は低い。が、筆者が過去に行ったBEVでの3000km超ドライブの経験にかんがみると、リチャージ1回あたりの走行距離が200km前後になると、充電による足止めのストレスが突然激減する。300kmくらいになればほとんどノーストレスだ。

 最も遅いグレードでも0-100km/hが7秒台、速いグレードだと5.1秒という動力性能と長大な航続性能、そしてリチャージの速さ──。これはアリアにとって十分金看板にできるファクターであろう。

日産の新型BEV「アリア」のリアビュー(AFP=時事通信フォト)

日産の新型BEV「アリア」のリアビュー(AFP=時事通信フォト)

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