購買力の高い顧客の反応はポジティブ
そういう難しい状況の中で「アリア」は日産の反撃の狼煙となれるのだろうか。まず気になるのはアリアが発売前の段階でしっかりと注目を集められているかどうかだ。
日産がアリアの概要を発表したのは2020年7月。2021年中頃に発売というアナウンスは今も修正されていないので、遅くとも今年中には発売される運びであろう。
筆者はたまたまこのタイミングでホンダのBEV「Honda e」で長期旅行を行っていたことから、充電がてら複数の日産系ディーラーから話を聞くことができた。どこのディーラーにも昨年、日産が発表したモデルの概要以上の情報はやってきておらず、問い合わせに対して有効な回答をできないでいるという状況。もちろん、正式な注文の受け付けもまだ始まっていないとのことだった。
一方でユーザーからの反応は思っていたよりずっとポジティブという印象らしい。日産は今でこそ大衆車専門というポジションに甘んじているが、痩せても枯れても元はトヨタ自動車と中大型車のセールスを巡って数々のバトルを繰り広げた歴史を持つ。相当に数を減らしてしまったとはいえ、「フーガ」「スカイライン」などの高額モデルを保有する、購買力の高い顧客もまだまだ抱えている。
「その中に、電気自動車を買い増してみようかと考えるお客様が一定数いましたが、仕立てが大衆車そのものの『リーフ』では正直訴求力が不足していました。その分、アリアが期待を集めているという感じですね」(中部地方の日産プリンス系ディーラー関係者)