ライフ

家族葬 参列者が少ないだけで格安ではない、費用は平均100万円弱

家族葬の注意点は?(写真はイメージ)

家族葬の注意点は?(写真はイメージ)

「オレが死んだら葬式は家族だけで簡単なものでいい」。埼玉在住の80代男性はそう話す。友人の多くはすでに亡くなり、元の職場の同僚とも疎遠になってしまった。

「家族に迷惑をかけたくないし、葬式に呼ぶ知人もいない。ちょっと寂しい気もするけど身内だけの『家族葬』なら安く済むと聞くからね」

 ひと昔前まで葬儀といえば、大人数で盛大に故人を送るイベントだったが、様変わりしつつある。

 終活関連の事業を手掛ける鎌倉新書が2020年に行なった「お葬式に関する全国調査」によると、直近2年半以内に葬儀を経験した遺族のうち、「家族葬」を行なった人は4割以上にのぼった。

 一般財団法人日本消費者協会が「自分自身の望ましい葬儀のかたち」について調査したところ、1位は「費用をかけないでほしい」(54.9%)で、「家族だけで送ってほしい」が2位(45.1%)。一方、「立派な葬儀にしてほしい」は最下位(1.7%)だった(2017年「葬儀についてのアンケート調査」より)。

 葬儀の簡略化がどんどん進んでいるのだ。葬儀・お墓コンサルタントの吉川美津子氏が解説する。

「『家族葬』に明確な定義はありませんが、一般的に家族と一部の親戚や友人ら数人~数十人が集まる小規模の葬儀のことを指します。高齢化が進み、地域コミュニティが希薄になっている近年の葬儀は縮小傾向にありましたが、さらに新型コロナで『このご時世なので葬儀は家族だけで行ないます』と周知できる大義名分ができたという声もあります」

 ただ、注意しなくてはならない点もある。

 テレビCMでは格安かつ小規模な葬式が宣伝されているため、前出の男性のように家族葬が一般的な葬儀よりも「安い」と思っている人は少なくない。

 だが、実際には「参列者の数が少ない」だけで、一般的な葬儀と流れは変わらない。

 前出の鎌倉新書の調査によると、家族葬の費用は寺院へのお布施や食事代などを除いた額で平均約96万4000円。一般葬の平均額約150万円を下回るものの、決して「安い葬式」ではないのだ。

 別掲表では家族葬の手順と注意点をまとめ、一日葬といったその他の葬儀との比較もしている。

※週刊ポスト2021年6月11日号

関連記事

トピックス

靖国神社の春と秋の例大祭、8月15日の終戦の日にはほぼ欠かさず参拝してきた高市早苗・首相(時事通信フォト)
高市早苗・首相「靖国神社電撃参拝プラン」が浮上、“Xデー”は安倍元首相が12年前の在任中に参拝した12月26日か 外交的にも政治日程上も制約が少なくなるタイミング
週刊ポスト
三重県を訪問された天皇皇后両陛下(2025年11月8日、撮影/JMPA)
《季節感あふれるアレンジ術》雅子さまの“秋の装い”、トレンドと歴史が組み合わさったブラウンコーデがすごい理由「スカーフ1枚で見違えるスタイル」【専門家が解説】
NEWSポストセブン
俳優の仲代達矢さん
【追悼】仲代達矢さんが明かしていた“最大のライバル”の存在 「人の10倍努力」して演劇に人生を捧げた名優の肉声
週刊ポスト
10月16日午前、40代の女性歌手が何者かに襲われた。”黒づくめ”の格好をした犯人は現在も逃走を続けている
《ポスターに謎の“バツ印”》「『キャー』と悲鳴が…」「現場にドバッと血のあと」ライブハウス開店待ちの女性シンガーを “黒づくめの男”が襲撃 状況証拠が示唆する犯行の計画性
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(右の写真はサンプルです)
「熊に喰い尽くされ、骨がむき出しに」「大声をあげても襲ってくる」ベテラン猟師をも襲うクマの“驚くべき高知能”《昭和・平成“人食い熊”事件から学ぶクマ対策》
NEWSポストセブン
オールスターゲーム前のレッドカーペットに大谷翔平とともに登場。夫・翔平の横で際立つ特注ドレス(2025年7月15日)。写真=AP/アフロ
大谷真美子さん、米国生活2年目で洗練されたファッションセンス 眉毛サロン通いも? 高級ブランドの特注ドレスからファストファッションのジャケットまで着こなし【スタイリストが分析】
週刊ポスト
公金還流疑惑がさらに発覚(藤田文武・日本維新の会共同代表/時事通信フォト)
《新たな公金還流疑惑》「維新の会」大阪市議のデザイン会社に藤田文武・共同代表ら議員が総額984万円発注 藤田氏側は「適法だが今後は発注しない」と回答
週刊ポスト
“反日暴言ネット投稿”で注目を集める中国駐大阪総領事
「汚い首は斬ってやる」発言の中国総領事のSNS暴言癖 かつては民主化運動にも参加したリベラル派が40代でタカ派の戦狼外交官に転向 “柔軟な外交官”の評判も
週刊ポスト
超音波スカルプケアデバイスの「ソノリプロ」。強気の「90日間返金保証」の秘密とは──
超音波スカルプケアデバイス「ソノリプロ」開発者が明かす強気の「90日間全額返金保証」をつけられる理由とは《頭皮の気になる部分をケア》
NEWSポストセブン
三田寛子(時事通信フォト)
「あの嫁は何なんだ」「坊っちゃんが可哀想」三田寛子が過ごした苦労続きの新婚時代…新妻・能條愛未を“全力サポート”する理由
NEWSポストセブン
大相撲九州場所
九州場所「17年連続15日皆勤」の溜席の博多美人はなぜ通い続けられるのか 身支度は大変だが「江戸時代にタイムトリップしているような気持ちになれる」と語る
NEWSポストセブン
初代優勝者がつくったカクテル『鳳鳴(ほうめい)』。SUNTORY WORLD WHISKY「碧Ao」(右)をベースに日本の春を象徴する桜を使用したリキュール「KANADE〈奏〉桜」などが使われている
《“バーテンダーNo.1”が決まる》『サントリー ザ・バーテンダーアワード2025』に込められた未来へ続く「洋酒文化伝承」にかける思い
NEWSポストセブン