ライフ

葬儀の簡略化 一度もお経をあげない「直葬」が8割になるとの予測も

コロナは葬儀の方法にも影響を(写真はイメージ)

コロナは葬儀の方法にも影響を(写真はイメージ)

 人生最後のセレモニー「葬式」だが、ここ数年どんどん規模が縮小している。家族葬や通夜を省いた一日葬など、お金をかけない葬式がテレビCMを賑わし、「葬儀の常識」も大きく変わっているのだ。

「コロナで今後は、ますます葬儀の簡略化が進むでしょう」と言うのは、東京の葬儀社「たかほう葬祭」の浜島貴一社長だ。

「感染拡大防止のために、『通夜ぶるまい』などの食事は9割方なくなりました。参列者が少ないことから、霊柩車も用意しないケース(寝台車を使用)が増えました」

 大阪市にある柳谷観音大阪別院・泰聖寺の純空壮宏住職は「コロナで『お経』をあげる回数も減っています」と語る。

「かつては亡くなった当日の枕経に始まり、通夜、葬儀と3日間かけてお経をあげましたが、最近は通夜を省く『一日葬』が増えています。さらに、通夜も葬儀も省略する『直葬』では一度もお経をあげないことが少なくない。住職が火葬炉の前でお経を唱えるだけの『炉前葬』も増えました。

 また、四十九日や一周忌、三回忌などを行なわない家庭が多くなった。参列者が集まらず、『お経を短くして安くしてほしい』と頼まれることもありました」

 僧侶への「お布施」は通常、葬儀社のプランには含まれない。通夜・告別式でお経をあげてもらうと15万~20万円、一日葬で8万~10万円、炉前葬なら5万~6万円が相場だという。

 葬儀サービス「小さなお葬式」を運営するユニクエストが公開する「葬儀・法要受注に関するデータ」によると、新型コロナの第一波のなかにあった2020年4月には、「直葬」が50%を超え、一般葬と家族葬の件数を初めて上回った。

 前出の浜島社長は「今後もこの傾向は常態化し、8割が直葬になる」とみている。

 直葬の場合、喪主さえ不要になる。儀式や様式が簡略化されることには寂しさも感じるが、葬儀・お墓コンサルタントの吉川美津子氏は「ポジティブに捉えたい」と語る。

「コロナ禍を『故人とどういうお別れをしたいか』を考えるいい機会と捉えたい。ごく近しい人だけで“故人との最後の時間をゆっくりと過ごす機会”と考えてみてはどうでしょうか」

※週刊ポスト2021年6月11日号

関連記事

トピックス

夜の街にも”台湾有事発言”の煽りが...?(時事通信フォト)
《“訪日控え”で夜の街も大ピンチ?》上野の高級チャイナパブに波及する高市発言の影響「ボトルは『山崎』、20万〜30万円の会計はざら」「お金持ち中国人は余裕があって安心」
NEWSポストセブン
東京デフリンピックの水泳競技を観戦された天皇皇后両陛下と長女・愛子さま(2025年11月25日、撮影/JMPA)
《手話で応援も》天皇ご一家の観戦コーデ 雅子さまはワインレッド、愛子さまはペールピンク 定番カラーでも統一感がある理由
NEWSポストセブン
大谷と真美子さんを支える「絶対的味方」の存在とは
《ドッグフードビジネスを展開していた》大谷翔平のファミリー財団に“協力するはずだった人物”…真美子さんとも仲良く観戦の過去、現在は“動向がわからない”
NEWSポストセブン
山上徹也被告(共同通信社)
「金の無心をする時にのみ連絡」「断ると腕にしがみついて…」山上徹也被告の妹が証言した“母へのリアルな感情”と“家庭への絶望”【安倍元首相銃撃事件・公判】
NEWSポストセブン
被害者の女性と”関係のもつれ”があったのか...
《赤坂ライブハウス殺人未遂》「長男としてのプレッシャーもあったのかも」陸上自衛官・大津陽一郎容疑者の “恵まれた生育環境”、不倫が信じられない「家族仲のよさ」
NEWSポストセブン
悠仁さま(2025年11月日、写真/JMPA)
《初めての離島でのご公務》悠仁さま、デフリンピック観戦で紀子さまと伊豆大島へ 「大丈夫!勝つ!」とオリエンテーリングの選手を手話で応援 
女性セブン
11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(読者提供)
《足立暴走男の母親が涙の謝罪》「医師から運転を止められていた」母が語った“事件の背景\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\"とは
NEWSポストセブン
大谷翔平が次のWBC出場へ 真美子さんの帰国は実現するのか(左・時事通信フォト)
《大谷翔平選手交えたLINEグループでやりとりも》真美子さん、産後対面できていないラガーマン兄は九州に…日本帰国のタイミングは
NEWSポストセブン
高市早苗首相(時事通信フォト)
《日中外交で露呈》安倍元首相にあって高市首相になかったもの…親中派不在で盛り上がる自民党内「支持率はもっと上がる」
NEWSポストセブン
11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(現場写真/読者提供)
【“分厚い黒ジャケット男” の映像入手】「AED持ってきて!」2人死亡・足立暴走男が犯行直前に見せた“奇妙な”行動
NEWSポストセブン
高市早苗首相の「台湾有事」発言以降、日中関係の悪化が止まらない(時事通信フォト)
「現地の中国人たちは冷めて見ている人がほとんど」日中関係に緊張高まるも…日本人駐在員が明かしたリアルな反応
NEWSポストセブン
10月22日、殺人未遂の疑いで東京都練馬区の国家公務員・大津陽一郎容疑者(43)が逮捕された(時事通信フォト/共同通信)
《赤坂ライブハウス刺傷》「2~3日帰らないときもあったみたいだけど…」家族思いの妻子もち自衛官がなぜ”待ち伏せ犯行”…、親族が語る容疑者の人物像とは
NEWSポストセブン