国内

高田明氏「自分の命を表現できるような死に方って偉い」

安楽死への考え方はまだ決められないと語る髙田氏(共同)

安楽死への考え方はまだ決められないと語る髙田氏(共同)

 新型コロナは多くの人に「医療と死」を考えるきっかけを与えた。日本を含む先進諸国では、人はどのような医療を受けるか、あるいは受けないかを自分で決めることができる。しかし、感染症だけは別である。社会の安全を守るため、法律によって強制的に入院・治療させることができる。2021年2月には、それを拒否した者に過料を科すことができる改正感染症法が与野党の賛成で成立した。

 もちろん、コロナにかかっても治療を拒否して死を選ぶという国民はほとんどいないだろう。しかし、入院はしたくない人、重篤な状態になったなら自宅に帰りたいと考える人、人工呼吸器はつけたくない人などはいるはずだ。もともと感染症法には行政が入院や治療を強制できる規定はあったが、これまで罰則がなかったのは、国民一人一人の自由と人権を尊重するためである。日本はそこから一歩、踏み込んだ。

 国内ではまだ積極的安楽死は認められていないが、延命治療を拒否して自ら死を選ぶ消極的安楽死(尊厳死)は認められている。それが、コロナでは必ずしも認められない。家族にも会えない隔離病棟で、自分の治療方針を決めることを許されずに亡くなる患者の無念はいかばかりか。そうした悲劇が毎日どこかで起きているコロナ禍の日本で、『週刊ポスト』(6月7日発売号)は「安楽死」を特集している。延命治療を望まず4月に亡くなった脚本家の橋田寿賀子さん(享年95)を看取った女優・泉ピン子氏(73)のインタビューをはじめ、多くの著名人・論客が「医療と死」について語っている。その特集で「安楽死、尊厳死を選ぶかどうかは死期が近づいてみないとわからない」と率直に述べたのが、ジャパネットたかた創業者の高田明氏(72)である。常々「117歳まで生きる」と豪語している同氏に、改めて「理想的な死に方とは何か」を訊いた。

 * * *
 60代までは、死というものを身近に考えることはほとんどありませんでした。しかし、70代になり、周りの友人も何人も亡くなり、やっぱり身体の衰えというのも出てきますから、そういうことを考えなきゃいけないのかなと思うようになりました。

 でも、まだまだ修行が足りなくて、人間の死ってなんだろうという答えは出ない。先日亡くなった橋田壽賀子さんが、いつも「安楽死で死にたい」とおっしゃってましたよね。それは橋田さんが90歳を過ぎてそういう感じ方をされるようになったのではないでしょうか。だから僕も今の歳で安楽死や尊厳死の答えを見つけるのは難しい。きっと、80、90と歳を重ねていくなかで何か見えてくるのでしょう。

 死って自分だけのものじゃないですよね。周りの人にとっても自分の死は特別な意味がある。そう考えた時に、周りの人のために一日でも長く生きられるならそうしたいという考え方もあります。だから、絶対に尊厳死を選ぶと言っていても、実際はそうしない人は多いし、それでもいいと思うんです。

関連記事

トピックス

生成AIを用いた佳子さまの動画が拡散されている(時事通信フォト)
「佳子さまの水着姿」「佳子さまダンス」…拡散する生成AI“ディープフェイク”に宮内庁は「必要に応じて警察庁を始めとする関係省庁等と対応を行う」
NEWSポストセブン
麻辣湯を中心とした中国発の飲食チェーン『楊國福』で撮影された動画が物議を醸している(HP/Instagramより)
〈まさかスープに入れてないよね、、、〉人気の麻辣湯店『楊國福』で「厨房の床で牛骨叩き割り」動画が拡散、店舗オーナーが語った実情「当日、料理長がいなくて」
NEWSポストセブン
保護者を裏切った森山勇二容疑者
盗撮逮捕教師“リーダー格”森山勇二容疑者在籍の小学校は名古屋市内で有数の「性教育推進校」だった 外部の団体に委託して『思春期セミナー』を開催
週刊ポスト
まだ重要な問題が残されている(中居正広氏/時事通信フォト)
中居正広氏と被害女性Aさんの“事案後のメール”に「フジ幹部B氏」が繰り返し登場する動かぬ証拠 「業務の延長線上」だったのか、残された最後の問題
週刊ポスト
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《ブログが主な収入源…》女優・遠野なぎこ、レギュラー番組“全滅”で悩んでいた「金銭苦」、1週間前に公表した「診断結果」「薬の処方」
NEWSポストセブン
新宿・歌舞伎町で若者が集う「トー横」
虐待死の事例に「自死」追加で見えてきた“こどもの苛烈な環境” トー横の少女が経験した「父親からの虐待」
NEWSポストセブン
生徒のスマホ使用を注意しても……(写真提供/イメージマート)
《教員の性犯罪事件続発》過去に教員による盗撮事件あった高校で「教員への態度が明らかに変わった」 スマホ使用の注意に生徒から「先生、盗撮しないで」
NEWSポストセブン
京都祇園で横行するYouTuberによる“ビジネス”とは(左/YouTubeより、右/時事通信フォト)
《芸舞妓を自宅前までつきまとって動画を回して…》京都祇園で横行するYouTuberによる“ビジネス”「防犯ブザーを携帯する人も」複数の被害報告
NEWSポストセブン
インフルエンサーのアニー・ナイト(Instagramより)
海外の20代女性インフルエンサー「6時間で583人の男性と関係を持つ」企画で8600万円ゲット…ついに夢のマイホームを購入
NEWSポストセブン
ホストクラブや風俗店、飲食店のネオン看板がひしめく新宿歌舞伎町(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」のもとにやって来た相談者は「女風」のセラピスト》3か月でホストを諦めた男性に声を掛けた「紫色の靴を履いた男」
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《自宅から遺体見つかる》遠野なぎこ、近隣住民が明かす「部屋からなんとも言えない臭いが…」ヘルパーの訪問がきっかけで発見
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 万引き逮捕の350勝投手が独占懺悔告白ほか
「週刊ポスト」本日発売! 万引き逮捕の350勝投手が独占懺悔告白ほか
NEWSポストセブン