運動会で以前のように思い切り競える日はいつになるのか(イメージ)
そして今年に入り、3度目の緊急事態宣言が東京都に発令されると、まん延防止等重点措置にとどまった隣県の教育現場では、子供達に「活動自粛」を伝えるにあたり、2020年と同じ説明では通用しない事態に直面させられた。
「部活の対外試合などの中止か縮小が決まったんです。去年と同じ説明で納得してもらおうと思っても、今年はテレビでは野球やサッカーの試合をやっていますよね。大人ばかりずるい、とは子供は言いませんが、明らかに違和感を抱いている様子なのが伝わります」(高田さん)
学校以外でも、子供達の「違和感」は大人に向けられている。埼玉県内の公民館管理人・杉野善雄さん(仮名・70代)は、公民館に遊びにきた小学生の女子児童に、ずばり核心を突くような質問をぶつけられ絶句した。
「今の子供達は、いろんな情報を知っていますね。子供は(コロナに)かかっても大したことがない、大変なのはお年寄り、というところまで理解しているようで、それならなぜ、お年寄りが外出を自粛しないのかと」(杉野さん)
事実、コロナ禍であっても、公民館や隣接するグラウンドには趣味サークルの集まりにやってきたり、ゲートボールで汗を流す高齢者の姿が多く見られた。かつては多くの子供達でごった返し、高齢者は平日の日中など子供達がいない時間に施設を利用することがほとんどだったが、コロナ禍以降は形勢が逆転。
「利用者のお年寄りが、マスクをしないで遊んでいる子供を叱りつけることが多くなりました。最初はお子さんの親御さんから怒鳴られたなどとクレームも来ていましたが、最近は子供が寄り付かなくなりました。大人に不信感を持ったのか、子供達にそっぽを向かれたような、寂しい気持ちでいっぱいです」(杉野さん)
なぜ自分たちだけ我慢をしなければならないのか、という子供たちの気持ちを逆撫でするように、条件付きではあるものの、映画館や劇場、テーマパークの運営再開のニュースが報じられている。経営的に追い込まれた一部の飲食店は、自治体の要請を無視し、通常営業を強行し始めた。大人は特別、と納得できなくとも、その気持ちを押し殺してきた子供たちに、こうした大人たちの言動はどう映っているのか。