「仲里依紗さんのチャンネルが人気な理由は、ズバリ、彼女が『女優らしくない』ことです。多くの芸能人は従来の『かっこいい』『きれい』といったイメージを守るために、YouTubeでもまるでコンセプトムービーのような動画を作りがちです。
しかし、YouTubeで演者に求められる要素は、実は『かっこよさ』よりも『親しみやすさ』。仲里依紗さんの場合、視聴者に話しかけるような距離感で動画を制作していて、従来の女優さんのイメージよりもずっと親しみやすいです。すっぴんやパジャマのような服装で、自宅でガンガントークする素の姿が見られます。
仲里依紗さんはママとしての姿も投稿していますが、芸能人にありがちな『おしゃれで料理や家事もしっかりできる』というイメージではなく、時短テクを使って手を抜きつつ料理を作るところが共感を誘います。女優さんという『かっこいい職業』でありながら普通の主婦も共感できる、というのが彼女の素晴らしいところです」
なーちゃん氏が、YouTubeという場でウケる要素を解説する。
「YouTubeでは、一般人でも、かっこつけようとする人は伸びません。自分を良く見せようとする演者さんは、数字が伸びにくいのです。ダメな部分、素の部分、弱い部分も晒け出すほうが、YouTubeという場では共感を呼びます。仲里依紗さんは、『かっこつけようとしていない』『きれいに見せようとしていない』という点で、多くの芸能人YouTuberと全く異なります」(なーちゃん氏)
動画の撮影・編集を自ら担当しているのも、YouTuber仲里依紗の特筆すべき点だ。その努力のかいがあって、アドビの動画編集ソフト「Premiere Pro」のCMにも起用された。また、YouTubeを通して主婦層の支持を獲得したこと、「ママ」のイメージが定着したことも大きな強みだろう。
YouTuberとしての実績が、本業である芸能活動にも好影響を与える。仲里依紗は、芸能人YouTuberの理想形と言えそうだ。
◆取材・文/原田イチボ(HEW)