そこで、宙に浮いた不動産を活用することに目を付けた“空き家ビジネス”が立ち上がっている。和田氏の「空き家活用」もそのひとつだ。
「『AKIDAS(アキダス)』という空き家情報サイトで、不動産会社向けに情報を有料で提供するサービスを展開しています。東京、埼玉、神奈川、千葉の関東圏と大阪、名古屋の空き家情報を、調査員を使って確実な情報を足で集めています」(和田氏)
情報件数は15万件を超え、サービスを利用している不動産会社も50社以上になってきているという。
「新型コロナウイルスの影響でリモートワークでの在宅勤務が定着してきている状況にあります。そうなって、会社からちょっと遠くても、広い家への転居を考える人が出てきはじめているようです。新築は大変だけど、空き家ならリフォームするだけで安上がりですから、これから空き家の需要が高まってくると考えています」(同前)
ほかにも、空き家をトランクルームとして活用するべく、“物置き”を使いたい人とスペースを持っている人をマッチングさせるプラットフォームを提供する「モノオク」、空き家を積極的に買い取ってリフォームし“価値を足す”ことを売りにしている「カチタス」、自己資金ゼロで空き家をリノベーションして貸し出すサービスを展開する「0円リノベFREE」など、数々の空き家ビジネスが存在する。趣がある古い住宅の場合、「古民家カフェ」や「古民家レストラン」に活用したいという需要も高まっている。
空き家を放置すれば治安や環境の悪化にもつながると言われる中、こうした新しいビジネスの潮流が空き家問題を解決に導いてくれるだろうか。
取材・文/前屋毅(ジャーナリスト)