国内

東大・京大も志願者減で止まらぬ「国公立離れ」 その最大の要因は何か

今年2月に行われた国公立大2次試験の前期日程の受験生(東大・本郷キャンパス/時事通信フォト)

今年2月に行われた国公立大2次試験の前期日程の受験生(東大・本郷キャンパス/時事通信フォト)

 今年の大学入試を振り返ると、私立大学一般選抜の志願者数は12%もの減少だった。これで2年連続の志願者減だ。一方、国公立大学の一般選抜の志願者減少も、目立たないものの実はずっと続いている。

 この10年で見ると、志願者が前年と比べて増えたのは2019年だけだ。

 この年は2020年度からの大学入試改革を見据え、浪人すると新入試を受けることになるため、受験生は極力、現役での大学進学を考えたようだ。そのため、安全志向も高まり、国公立大志望者が増えたものと見られる。

少子化とは関係ない

 10年前の2011年に50万人を超えていた国公立大の志願者は、今年は42万5000人ほどにとどまった。10年前と比べて7万8778人、15.6%の減少だ。2011年は2008年に起きたリーマンショックによる不況の影響から、学費の安い国公立大人気が高まった。

 少子化と言われるが、現在の18歳人口は2011年と比べてそれほど減っていない。にもかかわらず、国公立大の志願者は減少している。

 近年新設されている公立大の志願者はさほど減らず、国立大が減少し続けているのは、公立大のほうが入りやすいこともあり人気が高いためだ。

大学入試改革が裏目に

 2020年に国公立大志願者は前年に比べて約3万人減り、今年も約1万4000人減った。この2年で大きく志願者が減っており、急速に「国公立大離れ」が進んでいる。

 その理由のひとつが受験生のセンター試験、共通テスト離れだ。

 2020年のセンター試験志願者数は55万7699人で前年より1万9131人、3.3%減だった。これは31年続いたセンター試験史上、過去最大の志願者減だった。センター試験まで待たずに年内に私立大などの推薦入試やAO入試(現・総合型選抜)を受けた受験生が多かった。2020年度の入試改革を敬遠してのことだ。

 さらに、今年から始まった共通テストの志願者は、最後のセンター試験と比べて2万2454人、4.0%減で、こちらも前年を下回る過去最大の減少幅となった。現役生は前年と同じ2.7%減だったが、浪人生が19.3%も減った。

 いよいよ大学入試改革元年ということから、2020年に進学を決めた受験生が多く浪人生自体が少なかった。このセンター試験、共通テストの志願者減少が国公立大入試の志願者減少につながった。

国公立大志願者数トップ30(2021年)

国公立大志願者数トップ30(2021年)

関連記事

トピックス

“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
《ママとパパはあなたを支える…》前田健太投手、別々で暮らす元女子アナ妻は夫の地元で地上120メートルの絶景バックに「ラグジュアリーな誕生日会の夜」
NEWSポストセブン
グリーンの縞柄のワンピースをお召しになった紀子さま(7月3日撮影、時事通信フォト)
《佳子さまと同じブランドでは?》紀子さま、万博で着用された“縞柄ワンピ”に専門家は「ウエストの部分が…」別物だと指摘【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
一般家庭の洗濯物を勝手に撮影しSNSにアップする事例が散見されている(画像はイメージです)
干してある下着を勝手に撮影するSNSアカウントに批判殺到…弁護士は「プライバシー権侵害となる可能性」と指摘
NEWSポストセブン
亡くなった米ポルノ女優カイリー・ペイジさん(インスタグラムより)
《米ネトフリ出演女優に薬物死報道》部屋にはフェンタニル、麻薬の器具、複数男性との行為写真…相次ぐ悲報に批判高まる〈地球上で最悪の物質〉〈毎日200人超の米国人が命を落とす〉
NEWSポストセブン
和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
「プラトニックな関係ならいいよ」和久井被告(52)が告白したキャバクラ経営被害女性からの“返答” 月収20〜30万円、実家暮らしの被告人が「結婚を疑わなかった理由」【新宿タワマン殺人・公判】
NEWSポストセブン
松竹芸能所属時のよゐこ宣材写真(事務所HPより)
《「よゐこ」の現在》濱口優は独立後『ノンストップ!』レギュラー終了でYouTubeにシフト…事務所残留の有野晋哉は地上波で新番組スタート
NEWSポストセブン
山下市郎容疑者(41)はなぜ凶行に走ったのか。その背景には男の”暴力性”や”執着心”があった
「あいつは俺の推し。あんな女、ほかにはいない」山下市郎容疑者の被害者への“ガチ恋”が強烈な殺意に変わった背景〈キレ癖、暴力性、執着心〉【浜松市ガールズバー刺殺】
NEWSポストセブン
英国の大学に通う中国人の留学生が性的暴行の罪で有罪に
「意識が朦朧とした女性が『STOP(やめて)』と抵抗して…」陪審員が涙した“英国史上最悪のレイプ犯の証拠動画”の存在《中国人留学生被告に終身刑言い渡し》
NEWSポストセブン
早朝のJR埼京線で事件は起きた(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」に切実訴え》早朝のJR埼京線で「痴漢なんてやっていません」一貫して否認する依頼者…警察官が冷たく言い放った一言
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン
10年に及ぶ山口組分裂抗争は終結したが…(司忍組長。時事通信フォト)
【全国のヤクザが司忍組長に暑中見舞い】六代目山口組が進める「平和共存外交」の全貌 抗争終結宣言も駅には多数の警官が厳重警戒
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《前所属事務所代表も困惑》遠野なぎこの安否がわからない…「親族にも電話が繋がらない」「警察から連絡はない」遺体が発見された部屋は「近いうちに特殊清掃が入る予定」
NEWSポストセブン