弟子時代も親方になってからも、大鵬親方には99%怒られていましたね。口を開いたら「バカヤロー」。でも、だからこそ、残りの1%の「ありがとう」「よくやった」のひと言で目の前がパーッと広がり、翌日からの厳しい稽古に励むことができたんです。
〈2004年、大鵬親方の引退に先立ち、娘婿の元貴闘力が大鵬部屋を継承する大嶽部屋の親方になったが、2010年、野球賭博問題で解雇処分に。元大竜が大嶽を襲名し部屋を継いだ。大鵬が亡くなったのはその3年後のことだった〉
亡くなる直前、ベッドに伏している大鵬親方が、突然、私に言葉をかけてきました。
「大竜、悪かったな。すまなかった。大変な時期に部屋を任せて」
それが親方からいただいた最後の言葉になりました。
※週刊ポスト2021年6月18・25日号