ライフ

歴史探訪東京さんぽ 歌川広重が描いた日本橋のにわか雨に浮かぶ富士

歌川広重『東都名所 日本橋之白雨』1832年(写真/国立国会図書館)

歌川広重『東都名所 日本橋之白雨』1832年(写真/国立国会図書館)

 雨降りが続くと、気分転換の散歩もままならない。江戸の浮世絵に描かれた名所を行くことで、“歴史探訪東京さんぽ”を楽しもう。

 初代歌川広重の『東都名所 日本橋之白雨』(1932〈天保3〉年)は、五街道の起点として知られる日本橋を中心に、右奥には江戸城、中央奥には富士山が描かれる。日本橋と江戸城、富士山の3点は当時流行の構図で、同様のモチーフで描かれる作品は数多い。

「雨の日に富士山は見られないと思いますが(笑い)、流行に合わせて描かれたものでしょう。白雨とはにわか雨のことで、目の前が白くなるほど激しい夕立を指します。雨の描き方が非常に複雑で、直線を交差させているのは、風景とは別に、雨のための版木を用いるなど、非常に複雑な工程を経ています」(岡田美術館・小林忠館長)

 日本橋は、江戸幕府を開いた徳川家康によって架けられた橋で、五街道の起点。現在も橋に掲げられている「日本橋」の揮毫は、幕府最後の将軍・徳川慶喜によるものだ。その日本橋の袂にある日本国道路元標は、東海道や中山道など五街道の起点であることを示したもので、モニュメントは国の重要文化財に指定されている。その日本橋からほど近い日本銀行本店本館は、建築家・辰野金吾によって1896年に建てられた。1923年の関東大震災にも耐え、100年以上の歴史を今に伝えている。

※週刊ポスト2021年7月2日号

江戸幕府を開いた徳川家康によって架けられた日本橋。五街道の起点。橋に掲げられている「日本橋」の揮毫は、幕府最後の将軍・徳川慶喜による(撮影/内海裕之)

江戸幕府を開いた徳川家康によって架けられた日本橋。五街道の起点。橋に掲げられている「日本橋」の揮毫は、幕府最後の将軍・徳川慶喜による(撮影/内海裕之)

関連記事

トピックス

全国でクマによる被害が相次いでいる(AFLO/時事通信フォト)
「“穴持たず”を見つけたら、ためらわずに撃て」猟師の間で言われている「冬眠しない熊」との対峙方法《戦前の日本で発生した恐怖のヒグマ事件》
NEWSポストセブン
韓国のガールズグループ「AFTERSCHOOL」の元メンバーで女優のNANA(Instagramより)
《ほっそりボディに浮き出た「腹筋」に再注目》韓国アイドル・NANA、自宅に侵入した強盗犯の男を“返り討ち”に…男が病院に搬送  
NEWSポストセブン
ラオスに到着された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月17日、撮影/横田紋子)
《初の外国公式訪問》愛子さま、母・雅子さまの“定番”デザインでラオスに到着 ペールブルーのセットアップに白の縁取りでメリハリのある上品な装い
NEWSポストセブン
ドジャース入団時、真美子さんのために“結んだ特別な契約”
《スイートルームで愛娘と…》なぜ真美子さんは夫人会メンバーと一緒に観戦しないの? 大谷翔平がドジャース入団時に結んでいた“特別な契約”
NEWSポストセブン
山上徹也被告の公判に妹が出廷
「お兄ちゃんが守ってやる」山上徹也被告が“信頼する妹”に送っていたメールの内容…兄妹間で共有していた“家庭への怒り”【妹は今日出廷】
NEWSポストセブン
靖国神社の春と秋の例大祭、8月15日の終戦の日にはほぼ欠かさず参拝してきた高市早苗・首相(時事通信フォト)
高市早苗・首相「靖国神社電撃参拝プラン」が浮上、“Xデー”は安倍元首相が12年前の在任中に参拝した12月26日か 外交的にも政治日程上も制約が少なくなるタイミング
週刊ポスト
相撲協会の公式カレンダー
《大相撲「番付崩壊時代のカレンダー」はつらいよ》2025年は1月に引退の照ノ富士が4月まで連続登場の“困った事態”に 来年は大の里・豊昇龍の2横綱体制で安泰か 表紙や売り場の置き位置にも変化が
NEWSポストセブン
三重県を訪問された天皇皇后両陛下(2025年11月8日、撮影/JMPA)
《季節感あふれるアレンジ術》雅子さまの“秋の装い”、トレンドと歴史が組み合わさったブラウンコーデがすごい理由「スカーフ1枚で見違えるスタイル」【専門家が解説】
NEWSポストセブン
俳優の仲代達矢さん
【追悼】仲代達矢さんが明かしていた“最大のライバル”の存在 「人の10倍努力」して演劇に人生を捧げた名優の肉声
週刊ポスト
10月16日午前、40代の女性歌手が何者かに襲われた。”黒づくめ”の格好をした犯人は現在も逃走を続けている
《ポスターに謎の“バツ印”》「『キャー』と悲鳴が…」「現場にドバッと血のあと」ライブハウス開店待ちの女性シンガーを “黒づくめの男”が襲撃 状況証拠が示唆する犯行の計画性
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(右の写真はサンプルです)
「熊に喰い尽くされ、骨がむき出しに」「大声をあげても襲ってくる」ベテラン猟師をも襲うクマの“驚くべき高知能”《昭和・平成“人食い熊”事件から学ぶクマ対策》
NEWSポストセブン
オールスターゲーム前のレッドカーペットに大谷翔平とともに登場。夫・翔平の横で際立つ特注ドレス(2025年7月15日)。写真=AP/アフロ
大谷真美子さん、米国生活2年目で洗練されたファッションセンス 眉毛サロン通いも? 高級ブランドの特注ドレスからファストファッションのジャケットまで着こなし【スタイリストが分析】
週刊ポスト