ちあきなおみ(写真/共同通信社)

カムバックを望む声が今も多いちあきなおみ(写真/共同通信社)

 その姿は狂気を孕んだものだったという。

「私は、高校生の頃からジャニスが好きで、よく聴いていました。彼女は故郷を追われるようにして歌手になり、孤独どころか孤絶だったようです。その姿がちあきさんに重なりました。『ちあきさんにもこんな孤絶と狂気の部分があったんだ』と、すぐに楽曲制作に取り掛かったのです」

 まさに、天から何かが降りてきたかのように、スラスラと歌詞と曲が書けたという。それが、『夜を急ぐ人』だ。

「あの曲でちあきなおみは壊れていった、などと当時、世間で言われていたようですが、とんでもない。あの曲は、ちあきさんそのものを紙にペタッと貼り付けたようなもの。だから、歌詞に込めた意図なんて何もありません」

 前衛的すぎたのか、まだ時代が追いつけなかったのか、オリコンの売り上げではチャートインすることがなかったが、この曲により新たな伝説が始まることとなる。

取材・文/廉屋友美乃 取材/藤岡加奈子 写真・資料提供/石田伸也 写真/共同通信社 本誌写真部 参考文献/『ちあきなおみ 喝采、蘇る。』(石田伸也・徳間書店)、『ちあきなおみ 沈黙の理由』(古賀慎一郎・新潮社)

※女性セブン2021年7月1・8日号

1974年に発売した、阿久悠さん作詞の『円舞曲』。オリコンの最高ランクは29位だったが、売上は10万枚以上を記録した佳曲

1974年に発売した、阿久悠さん作詞の『円舞曲』。オリコンの最高ランクは29位だったが、売上は10万枚以上を記録した佳曲 (写真/石田伸也さん提供)

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