モジュール工法の「第一号」モデル

 走りの性能については情報がまったくないが、こちらもアップデートはされることだろう。八郷隆弘前社長は2019年、「クルマ作りにモジュール工法を導入する。第1号は次期シビック」と語っていた。

 モジュール工法とはフォルクスワーゲン、トヨタ自動車、日産自動車などが導入しているクルマ作りの新しい手法。ごく簡単に説明すると、クルマのエンジンルーム、車室、トランク、サスペンションなどの部品を何パターンか作っておいて、それをレゴブロックのように組み合わせていろいろなクルマを低コストで作り分けるというものだ。

 このモジュール工法で作られた11世代シビックは、クルマの性格的には現行モデルのキープコンセプトだが、中身は新しいということになる。

 実際の走りは乗ってみないとわからないが、もともとシビックはホンダにとって屋台骨を支える基幹モデルであり、とくに21世紀に入ってからはクルマとして非常にハイレベルなものになっていた。新型ももちろん全力で作られていることだろう。

新型シビックのインテリア(写真/ホンダ)

新型シビックのインテリア(写真/ホンダ)

国内生産のセダンはディスコンに

 このように、ホンダが決意も新たに日本に投入する新型シビックだが、問題はこれをビジネスとして成功させられるかどうかだ。

 自動車産業がグローバル化して久しく、アメリカ、ヨーロッパ、中国、アジアなどの巨大市場を主軸にしている。日本専用モデルも軽自動車を除き、どんどん少なくなってきているのはどのメーカーも似たり寄ったりというのが今の状況である。

 ホンダもご多分に漏れず、「フィット」「フリード」「ステップワゴン」といった日本主体のモデルだけでなく、海外市場を主眼としたグローバル商品を日本に持ってきてラインナップを補強しているが、そのグローバル商品についてはここまでほぼ“全敗”と言っていいほどに売れていない。

 列記すると前出のミッドサイズセダン「アコード」、ハイブリッドカー「インサイト」、SUV「CR-V」等々だが、いずれも悲惨な販売スコア。ステーションワゴン「ジェイド」、コンパクトセダン「グレイス(アジア名シティ)」など、すでにディスコン(※discontinuedの略で製造中止・販売中止の意)となったものも多数という有様である。

 実は現行の10世代シビックも、販売台数的にはディスコンになってもおかしくない状況だった。実際、2020年8月にはことさら販売が低調だった国内生産のシビックセダンがディスコンとなっている。

 イギリスからの輸入であったハッチバックもセダンよりはややマシだが、ディスコンにしたほうが合理的という販売台数であったことに変わりはない。唯一、320馬力エンジンを搭載した「タイプR」がこの手の高価なファクトリーチューンモデルとしてはまあまあの人気を保てたのが慰めになる程度だ。

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