効果が証明されていないのに、高額な治療費がかかる“自費診療”のがん治療は、数多く存在する。代表的なのが「免疫細胞療法」。患者の血液中の“免疫細胞を活性化・増殖させて、がんを死滅させる”とうたわれているが、実態はまったくかけ離れたところにある。
「免疫細胞療法は、大学病院で数多くの臨床試験が実施され、有効性がないと証明されました。ノーベル賞の本庶佑氏が開発した、免疫チェックポイント阻害薬とは“似て非なる”治療です。日本では規制する法律がないために、金儲けが目的だけの “自費診療”が横行していますので、注意が必要です」(岩澤さん・以下同)
コロナで無駄な歯列矯正が横行中
マスク生活とステイホームにより、口腔内のトラブルも増えている。特に受診控えにより気がつくタイミングを逃し悪化する「コロナ虫歯」の問題は顕著だ。しかしいざ発見し、治療をしようと思ったときに立ちはだかるのは「時代遅れの治療」だ。日本人の約7割に銀歯があるといわれるほど一般的な虫歯治療だが、新たに銀歯で治療するメリットは少ないと岩澤さんは指摘する。
「銀歯の場合、小さな虫歯でも歯を大きく削る必要があるので、結果として歯の寿命を短くしてしまう原因になります。治療費の負担が少ないため、とりあえず銀歯を選択して後からセラミックにするという人もいますが、“被せもの”の再治療は歯を失うリスクが高まるので、推奨できません」
さらに歯科業界では、銀歯をめぐる2つの問題が起きているという。
「これまで銀歯に使用されていた、パラジウムという金属が世界的に高騰してしまい、一部の歯科医が患者には何も説明をせずに、質の低い素材を銀歯に使用しているという証言があります。また、アマルガムという“水銀”を使った銀歯は、アレルギーや肩こり、腰痛などの原因となっている可能性があります」
日本人が歯を失う原因の1位は歯周病だが、その治療効果をうたった高額な歯磨き剤も、場合によっては「無駄」になる。
「歯周病は、歯周ポケット内にたまったプラーク(細菌の塊)を、専門の道具を使って除去しなければ治りません。高額な歯磨き剤を使って自己流で治そうとするうちに歯周病が進行してしまい、完治できるタイミングを逃す人が多いと嘆く歯科医は少なくありません。歯周病治療は、早い段階で専門的な治療を受けるべきです」
また、マスク着用が日常になったコロナ禍の時代。口元が見えないこの時期に、歯列矯正がムーブメントになっているが、「無駄」な歯列矯正も横行しているという。