「注意が必要なのは、マウスピース型の歯列矯正です。特に通販で取り寄せるものの中には、歯科医が介在していない業者もあり、治療効果は期待できません。
日本矯正歯科学会では、マウスピース型の歯列矯正について、“歯の移動量が少ない症例に限定” “精密な歯の移動は原則として困難”と明確に指摘しています。マウスピース型矯正は、ワイヤー矯正よりも目立たない、簡単に着脱できるので手入れがしやすい、などのメリットもありますが、患者の厳しい自己管理が必要です」
岩澤さんによると、歯列矯正には知られざるリスクもあるという。
「歯列矯正は見た目を整えるだけではなく、噛み合わせも重要なため、高度な専門性が必要です。しかし、マウスピース型矯正を安易に手掛ける一般歯科医が増えた結果、噛み合わせがおかしくなったなどのトラブルも報告されています」
手術よりも腰割りとねじりを
自分が受けている医療が「過剰なもの」あるいは「無駄なもの」ではないか──そう感じたとき、どう医師に伝えるべきなのか。岡田さんはこうアドバイスをする。
「多くの医師は、利益だけでなく患者のことを考えて治療方法を決めている。だからいきなり『無駄な治療ではないか』とストレートに言われれば、どうしてもムッとしてしまうし、聞く耳を持とうとしない。たとえば『薬の副作用は大丈夫でしょうか』とか『雑誌にこんな記事があって心配になってしまって』などと質問してみるのがいいでしょう」
必要な治療をしてくれる医師を見極めるのと並行して取り組みたいのは、健康な体づくりだ。
「高血圧や脂質異常症については、服薬よりも長期間にわたる食事の改善や運動を取り入れることで改善できる。費用がかからないうえに、副作用もありません。特に中性脂肪が多い人は、薬をのむよりもエネルギー源としてとらえ、運動によって消費してしまえばいいのです」(岡田さん)
ほんの少し自分の行動を変えることが、無駄な治療を退けるのだ。戸田さんも声をそろえる。
「腰痛も、体を動かすことで改善するケースは少なくありません。腰の背骨部分の腰椎の動きは骨盤と連動しています。骨盤周辺の筋肉をストレッチすると、骨盤の動きがなめらかになって、腰椎への負担が減らせて腰痛が改善されます。『腰割りねじりストレッチ』を2時間に1回のペースでやってみてください」
受ける医療が無駄なものになるかどうかは、あなたの知識にかかっている。いまこそ、自分の体を人任せにせず見つめ直してほしい。
イラスト/おしろゆうこ
※女性セブン2021年7月15日号