スポーツ

阪神に朗報? 日本シリーズ「関西対決」と東京五輪の奇しき因縁

在阪マスコミは「阪神一色」だが(撮影/杉原照夫)

在阪マスコミは「阪神一色」だが(撮影/杉原照夫)

 前回の東京オリンピックが開催された1964年は、プロ野球界で「初めて」が多く生まれた年でもあった。巨人の王貞治がシーズン55本塁打の日本記録を作り、その打ちまくる王を抑えるため、広島が初めて「王シフト」を敷いたのもこの年だった。

 そして、日本シリーズはセ・リーグを制した阪神タイガースと、パ・リーグを制した南海ホークスの戦いになった。関西の球団同士の日本シリーズも史上初のことだった。しかも、シーズン終盤に台風が直撃するなど天候に恵まれず、阪神が優勝を決めたのは、本来なら日本シリーズの第2戦が予定されていた9月30日までずれ込んだ。その翌日の10月1日から慌てて日本シリーズが行なわれたのは、もちろん東京オリンピックがあったためだ。

 かつて体育の日だった10月10日は、その東京オリンピックの開幕日を記念したものだ。若い読者はこの日付を知らないかもしれないが、1999年までは「体育の日」として国民に親しまれ、多くの小中学校では運動会・体育祭が行なわれた。その後、体育の日は10月第2月曜日に変更され、2020年からは「スポーツの日」と名前が変わった。また、昨年と今年はオリンピックの開会式予定日に合わせて7月24日、7月23日に移動されている。

 話を戻すと、日本シリーズはホーム&アウェイ&ホームで2連戦(移動日)3連戦(移動日)2連戦を行なうため、最終戦までもつれれば9日間かかる。1964年に阪神が優勝を決めた翌日から日本シリーズを強行したのは、ぎりぎり10月10日のオリンピック開幕前にプロ野球を閉幕するためだった。

 ところが、その思惑も外れることになる。シリーズは初戦から順に南海、阪神、阪神、南海、阪神が勝つ一進一退の展開で拮抗し、なんと第6戦は雨で順延。その試合を南海が勝って3勝3敗としたところで、10月10日を迎えてしまったのである。いくらなんでもオリンピックの開会式と日本シリーズの最終決戦を同時にやることは憚られたため、第7戦は開会式が終わったあと、ナイターで行なわれることになった。これは初めて日本シリーズがナイターで行なわれた記録でもある。

 さて、2度目の東京オリンピックが予定されている今年は、奇しくもそれ以来の「関西ダービー」の日本シリーズが実現する可能性がある。6月を終えてセ・リーグの首位は阪神、パ・リーグはオリックスである。『週刊ポスト』(7月5日発売号)では、早くも関西対決で盛り上がる両チームのOBやファンの熱狂を特集している。評論家らの評価では、人気の阪神vs実力のオリックスという見方が多いようだが、戦力分析は本誌に譲り、ここでは「人気の阪神」を示す在阪スポーツ紙の“えこひいき”ぶりを紹介する。

関連キーワード

関連記事

トピックス

「鴨猟」と「鴨場接待」に臨まれた天皇皇后両陛下の長女・愛子さま
(2025年12月17日、撮影/JMPA)
《ハプニングに「愛子さまも鴨も可愛い」》愛子さま、親しみのあるチェックとダークブラウンのセットアップで各国大使らをもてなす
NEWSポストセブン
SKY-HIが文書で寄せた回答とは(BMSGの公式HPより)
〈SKY-HIこと日高光啓氏の回答全文〉「猛省しております」未成年女性アイドル(17)を深夜に自宅呼び出し、自身のバースデーライブ前夜にも24時過ぎに来宅促すメッセージ
週刊ポスト
人の出入りが多く流行っていたという火災があったサウナ店
《夫婦が閉じ込められ…》月額39万円の高級サウナ店での火災でサウナーたちに広がる不安 彼らはなぜ\\\"避難シミュレーション\\\"を議論するのか
NEWSポストセブン
今年2月に直腸がんが見つかり10ヶ月に及ぶ闘病生活を語ったラモス瑠偉氏
《直腸がんステージ3を初告白》ラモス瑠偉が明かす体重20キロ減の壮絶闘病10カ月 “7時間30分”命懸けの大手術…昨年末に起きていた体の異変
NEWSポストセブン
日高氏が「未成年女性アイドルを深夜に自宅呼び出し」していたことがわかった
《独占スクープ》敏腕プロデューサー・SKY-HIが「未成年女性アイドル(17)を深夜に自宅呼び出し」、本人は「軽率で誤解を招く行動」と回答【NHK紅白歌合戦に出場予定の所属グループも】
週刊ポスト
世間を驚かせたメイプル超合金のカズレーザー(41才)と二階堂ふみ(31才)の電撃“推し婚”
【2025年・有名人の結婚&離婚を総決算】何かと平和な「人気男性タレントと一般女性の結婚」、離婚決断が女性からの支持につながった加藤ローサ
女性セブン
米倉涼子
《米倉涼子の自宅マンション前に異変》大手メディアが集結で一体何が…薬物疑惑報道後に更新が止まったファンクラブは継続中
火事が発生したのは今月15日(右:同社HPより)
《いつかこの子がドレスを着るまで生きたい》サウナ閉じ込め、夫婦は覆いかぶさるように…専門家が指摘する月額39万円サウナの“論外な構造”と推奨する自衛手段【赤坂サウナ2人死亡】
NEWSポストセブン
自らを「頂きおじさん」と名乗っていた小野洋平容疑者(右:時事通信フォト。今回の事件とは無関係)
《“一夫多妻男”が10代女性を『イヌ』と呼び監禁》「バールでドアをこじ開けたような跡が…」”頂きおじさん”小野洋平容疑者の「恐怖の部屋」、約100人を盗撮し5000万円売り上げ
NEWSポストセブン
ヴァージニア・ジュフリー氏と、アンドルー王子(時事通信フォト)
《“泡風呂で笑顔”の写真に「不気味」…》10代の女性らが搾取されたエプスタイン事件の「写真公開」、米メディアはどう報じたか 「犯罪の証拠ではない」と冷静な視点も
NEWSポストセブン
来季前半戦のフル参戦を確実にした川崎春花(Getty Images)
《明暗クッキリの女子ゴルフ》川崎春花ファイナルQT突破で“脱・トリプルボギー不倫”、小林夢果は成績残せず“不倫相手の妻”の主戦場へ
週刊ポスト
超有名“ホス狂い詐欺師風俗嬢”だった高橋麻美香容疑者
《超有名“ホス狂い詐欺師風俗嬢”の素顔》「白血病が再発して余命1か月」と60代男性から総額約4000万円を詐取か……高橋麻美香容疑者の悪質な“口説き文句”「客の子どもを中絶したい」
NEWSポストセブン