芸能

村上弘明 避けてきた「江戸弁のセリフ回し」に挑戦して気づいたこと

江戸弁に想いをこめて

江戸弁に想いをこめて

 映画史・時代劇研究家の春日太一氏による、週刊ポスト連載『役者は言葉でできている』。今回は、俳優・村上弘明が、苦手意識を持っていた江戸弁について語った言葉を紹介する。

 * * *
 村上弘明は一九九九年に『髪結い伊三次』(フジテレビ)で、髪結いの伊三次(中村橋之助、現・芝翫)が信頼する同心・不破友之進を演じた。

 このドラマでは、これまで避けてきた江戸弁のセリフ回しを披露している。

「作家の宇江佐真理さんの原作が江戸弁で書かれていたので、僕も江戸弁でやることになったんです。

 歌舞伎の指導もされている方が先生になってくれて、イントネーションからテンポまで全て教わりました。

 江戸弁でやると聞いた当初は、デビューしたばかりの頃に『御宿かわせみ』(一九八〇年、NHK)の下っ引き役で全くダメだった記憶がよみがえってきて、拒否反応もありました。

 それでも、実際にやってみたら、江戸弁の方が想いやニュアンスを託しやすいことに気づいたんです。

 アナウンサーが喋るような標準語というのは、ある意味、『作られた言葉』です。

 情報だけが正確に伝わるように、余計なものをそぎ落としている。だから感情をこめるのに向いていないし、そもそも感情をこめすぎてはいけない言葉なんです。

 その点、言葉に想いを託す時は、方言のほうがしっかり感情がこもるんです。それは江戸弁も同じでしたね」

 二〇〇〇年に始まった時代劇シリーズ『八丁堀の七人』(テレビ朝日)には、片岡鶴太郎らとともに出演。

 村上はリーダー格の与力・青山久蔵を演じている。

「この仕事はマネージャーが推してきました。『だまされたと思って、やってみな。いい役だから』って。

 ドラマの放送が始まってから、『青山役の村上が秀逸だ』という評が新聞に載ったことがありました。するとマネージャーは『ほらな。いい役だったろう』とわざわざ僕が撮影をしている京都まで記事を持ってきてくれました。いろいろとご苦労をかけました」

関連キーワード

関連記事

トピックス

遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《ブログが主な収入源…》女優・遠野なぎこ、レギュラー番組“全滅”で悩んでいた「金銭苦」、1週間前に公表した「診断結果」「薬の処方」
NEWSポストセブン
由莉は愛子さまの自然体の笑顔を引き出していた(2021年11月、東京・千代田区/宮内庁提供)
愛子さま、愛犬「由莉」との別れ 7才から連れ添った“妹のような存在は登校困難時の良きサポート役、セラピー犬として小児病棟でも活動
女性セブン
インフルエンサーのアニー・ナイト(Instagramより)
海外の20代女性インフルエンサー「6時間で583人の男性と関係を持つ」企画で8600万円ゲット…ついに夢のマイホームを購入
NEWSポストセブン
ホストクラブや風俗店、飲食店のネオン看板がひしめく新宿歌舞伎町(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」のもとにやって来た相談者は「女風」のセラピスト》3か月でホストを諦めた男性に声を掛けた「紫色の靴を履いた男」
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《自宅から遺体見つかる》遠野なぎこ、近隣住民が明かす「部屋からなんとも言えない臭いが…」ヘルパーの訪問がきっかけで発見
NEWSポストセブン
2014年に結婚した2人(左・時事通信フォト)
《仲間由紀恵「妊活中の不倫報道」乗り越えた8年》双子の母となった妻の手料理に夫・田中哲司は“幸せ太り”、「子どもたちがうるさくてすみません」の家族旅行
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(左/Xより)
《大学時代は自由奔放》学歴詐称疑惑の田久保市長、地元住民が語る素顔「裏表がなくて、ひょうきんな方」「お母さんは『自由気ままな放蕩娘』と…」
NEWSポストセブン
大谷翔平(時事通信)と妊娠中の真美子さん(大谷のInstagramより)
《大谷翔平バースデー》真美子さんの“第一子につきっきり”生活を勇気づけている「強力な味方」、夫妻が迎える「家族の特別な儀式」
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(HP/Xより)
田久保眞紀市長の学歴詐称疑惑 伊東市民から出る怒りと呆れ「高卒だっていい、嘘つかなきゃいいんだよ」「これ以上地元が笑いものにされるのは勘弁」
NEWSポストセブン
東京・新宿のネオン街
《「歌舞伎町弁護士」が見た性風俗店「本番トラブル」の実態》デリヘル嬢はマネジャーに電話をかけ、「むりやり本番をさせられた」と喚めき散らした
NEWSポストセブン
盟友である鈴木容疑者(左・時事通信)への想いを語ったマツコ
《オンカジ賭博で逮捕のフジ・鈴木容疑者》「善貴は本当の大バカ者よ」マツコ・デラックスが語った“盟友への想い”「借金返済できたと思ってた…」
NEWSポストセブン
米田
《チューハイ2本を万引きで逮捕された球界“レジェンド”が独占告白》「スリルがあったね」「棚に返せなかった…」米田哲也氏が明かした当日の心境
週刊ポスト