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村上弘明 避けてきた「江戸弁のセリフ回し」に挑戦して気づいたこと

江戸弁に想いをこめて

江戸弁に想いをこめて

 映画史・時代劇研究家の春日太一氏による、週刊ポスト連載『役者は言葉でできている』。今回は、俳優・村上弘明が、苦手意識を持っていた江戸弁について語った言葉を紹介する。

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 村上弘明は一九九九年に『髪結い伊三次』(フジテレビ)で、髪結いの伊三次(中村橋之助、現・芝翫)が信頼する同心・不破友之進を演じた。

 このドラマでは、これまで避けてきた江戸弁のセリフ回しを披露している。

「作家の宇江佐真理さんの原作が江戸弁で書かれていたので、僕も江戸弁でやることになったんです。

 歌舞伎の指導もされている方が先生になってくれて、イントネーションからテンポまで全て教わりました。

 江戸弁でやると聞いた当初は、デビューしたばかりの頃に『御宿かわせみ』(一九八〇年、NHK)の下っ引き役で全くダメだった記憶がよみがえってきて、拒否反応もありました。

 それでも、実際にやってみたら、江戸弁の方が想いやニュアンスを託しやすいことに気づいたんです。

 アナウンサーが喋るような標準語というのは、ある意味、『作られた言葉』です。

 情報だけが正確に伝わるように、余計なものをそぎ落としている。だから感情をこめるのに向いていないし、そもそも感情をこめすぎてはいけない言葉なんです。

 その点、言葉に想いを託す時は、方言のほうがしっかり感情がこもるんです。それは江戸弁も同じでしたね」

 二〇〇〇年に始まった時代劇シリーズ『八丁堀の七人』(テレビ朝日)には、片岡鶴太郎らとともに出演。

 村上はリーダー格の与力・青山久蔵を演じている。

「この仕事はマネージャーが推してきました。『だまされたと思って、やってみな。いい役だから』って。

 ドラマの放送が始まってから、『青山役の村上が秀逸だ』という評が新聞に載ったことがありました。するとマネージャーは『ほらな。いい役だったろう』とわざわざ僕が撮影をしている京都まで記事を持ってきてくれました。いろいろとご苦労をかけました」

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