敗れた後、審判に物言いを求めたことも(写真/共同通信社)

敗れた後、審判に物言いを求めたことも(写真/共同通信社)

大鵬や双葉山がいれば…

 国技の最高位である横綱は、休場しても番付が下がることがない。その地位に足る相撲が取れないのであれば、自ら進退を決断しなくてはならない。前出の提言書では、そうしたことに触れたうえで、〈しかし、とくに令和2年から3年にかけて横綱の地位にある力士たちが示した振舞いや本場所休場等は、大相撲の品格や武道的特性を大事に思うファンから見て、大相撲の伝統から外れた行為として映るようになった〉と指摘している。このままでは、横綱という制度そのものが揺らぎかねないという危機感が表明された。この指摘の対象が、白鵬と3月場所で引退した鶴竜であることは言うまでもない。

 阿刀田氏はこの点について、「これは個人の問題」という言い方をする。

「(白鵬らをきっかけに)横綱制度をどうするかとか、外国出身力士の教育をどうするかといった問題が議論されていますが、今の横綱がもう少し立派であってくれたら、何の問題もないわけです。仮にいま、大鵬や双葉山のような立派な横綱がその地位にいれば、何の問題も起きません。そもそも、制度そのものを変えるといった議論にまで発展させる必要はないはずなので、(白鵬には)そうした懸念を吹き払うような潔い引退を期待したい」

※週刊ポスト2021年7月16・23日号

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