スポーツ

名古屋場所出場の白鵬に「潔い引退を期待したい」と識者から厳しい声

横綱・白鵬の「進退」に注目が集まる(時事通信フォト)

横審の目の前でもカチ上げをした白鵬(2020年1月。時事通信フォト)

 大関・照ノ富士の綱取りとともに、横綱・白鵬の「進退」に注目が集まることとなった大相撲名古屋場所。場所前までに幕内通算1078勝を積み上げるなど、数々の歴代最多記録を持つ白鵬だが、昨年3月の春場所以降は賜杯から遠ざかっている。6場所連続休場で、横綱としての役割を全く果たせていなかった。

「今年初場所の新型コロナ感染による休場はまだしも、翌3月場所の途中休場の印象が悪すぎる。初日に前の場所で平幕優勝した大栄翔を一気に寄り倒し、翌日も相撲巧者の宝富士を下して2連勝しながら、3日目の朝に休場届を出した。しかも宮城野親方(元前頭・竹葉山)を通じて、“右膝を手術するので復帰は7月場所になる”と、早々に5月場所の全休まで表明した。あの時点で身を引いていれば、まだ潔いととらえる人もいたかもしれないが、まるで“休むのは当然の権利”と言わんばかりの振る舞いに、表情を曇らせる協会幹部は多かった」(協会関係者)

 3月場所後、日本相撲協会理事長の諮問機関である「大相撲の継承発展を考える有識者会議」(委員長=山内昌之・東大名誉教授)が八角理事長(元横綱・北勝海)に提言書を手渡した。その内容は、白鵬に対して手厳しいものとなった。

 現役時代に著しい実績を残した力士にのみ認められていた、引退後も現役名のまま親方になれる「一代年寄」の制度について、提言書では〈名乗りを認める根拠は見出されない〉との見解が示された。これまでに認められたのは、大鵬(優勝32回)、千代の富士(同31回、辞退して「九重」を襲名)、北の湖(同24回)、貴乃花(同22回)の4人で、「数字の上では彼らを上回る白鵬にとって一代年寄襲名は悲願だったが、提言書によってその道は閉ざされた」(同前)のである。

 それ以外にも、〈外国出身力士が勝ってガッツポーズをしたり、(中略)優勝インタビューで万歳三唱や三本締めを求めた時などは、(中略)少なからぬファンが違和感を覚えると同時に失望してきた〉といった記述があり、名指しこそしていないが、白鵬の言動を批判する文言が数多くあった。

 同有識者会議のメンバーである作家の阿刀田高氏に、改めて白鵬についての見解を尋ねると、こう答えた。

「ある意味、(引き際は)個人の自由に関することですからね……。今場所でどれだけの成績をあげられるかに懸かっていますが、すでに引退するのが当然というような過去があるわけです。何をもって“潔い”とするかは、簡単に言える問題ではありませんが、それでも、横綱に相応しいと言われるような潔い引退をしてもらいたい」

あわせて読みたい

関連キーワード

関連記事

トピックス

石破茂・首相の退陣を求めているのは誰か(時事通信フォト)
自民党内で広がる“石破おろし”の陰で暗躍する旧安倍派4人衆 大臣手形をバラ撒いて多数派工作、次期政権の“入閣リスト”も流れる事態に
週刊ポスト
1999年、夏の甲子園に出場した芸人・とにかく明るい安村(公式HPより)
【私と甲子園】1999年夏出場のとにかく明るい安村 雪が降りしきる母校のグラウンドで練習に明け暮れた日々「甲子園を目指すためだけに高校に通った」 
女性セブン
クマ外傷の専門書が出版された(画像はgetty image、右は中永氏提供)
《クマは鋭い爪と強い腕力で顔をえぐる》専門家が明かすクマ被害のあまりに壮絶な医療現場「顔面中央部を上唇にかけて剥ぎ取られ、鼻がとれた状態」
NEWSポストセブン
小島瑠璃子(時事通信フォト)
《亡き夫の“遺産”と向き合う》小島瑠璃子、サウナ事業を継ぎながら歩む「女性社長」「母」としての道…芸能界復帰にも“後ろ向きではない”との証言も
NEWSポストセブン
ジャーナリストの西谷格氏が新疆ウイグル自治区の様子をレポート(本人撮影)
《新疆ウイグル自治区潜入ルポ》現地の人が徹底的に避ける「強制収容所」の話題 ある女性は「夫は5年前に『学習するところ』に連れて行かれ亡くなりました」
週刊ポスト
会見で出場辞退を発表した広陵高校・堀正和校長
《海外でも”いじめスキャンダル”と波紋》広陵高校「説明会で質問なし」に見え隠れする「進路問題」 ”監督の思し召し”が進学先まで左右する強豪校の実態「有力大学の推薦枠は完全な椅子取りゲーム」 
NEWSポストセブン
起訴に関する言及を拒否した大谷翔平(写真/アフロ)
大谷翔平、ハワイ高級リゾート開発を巡って訴えられる 通訳の次は代理人…サポートするはずの人物による“裏切りの連鎖” 
女性セブン
スキンヘッドで裸芸を得意とした井手らっきょさん
《僕、今は1人です》熊本移住7年の井手らっきょ(65)、長年連れ添った年上妻との離婚を告白「このまま何かあったら…」就寝時に不安になることも
NEWSポストセブン
暴力問題で甲子園出場を辞退した広陵高校の中井哲之監督と会見を開いた堀正和校長
《広陵高校、暴力問題で甲子園出場辞退》高校野球でのトラブル報告は「年間1000件以上」でも高野連は“あくまで受け身” 処分に消極的な体質が招いた最悪の結果 
女性セブン
お仏壇のはせがわ2代目しあわせ少女の
《おててのシワとシワを合わせて、な~む~》当時5歳の少女本人が明かしたCM出演オーディションを受けた意外な理由、思春期には「“仏壇”というあだ名で冷やかされ…」
NEWSポストセブン
広陵野球部・中井哲之監督
【広陵野球部・被害生徒の父親が告発】「その言葉に耐えられず自主退学を決めました」中井監督から投げかけられた“最もショックな言葉” 高校側は「事実であるとは把握しておりません」と回答
週刊ポスト
薬物で何度も刑務所の中に入った田代まさし氏(68)
《志村けんさんのアドバイスも…》覚醒剤で逮捕5回の田代まさし氏、師匠・志村さんの努力によぎった絶望と「薬に近づいた瞬間」
NEWSポストセブン