大横綱の千代の富士が理事選で落選し、優勝8回の北勝海が理事長になる世界である。協会内の出世には、現役時代の実績とは別の力学もある。
「親方としての力は、所属する一門の規模や理事選での集票力、有力タニマチの財力などで変わってくる。白鵬はスカウトなどのために広い人脈を築いてきたし、太いタニマチも多い。
ただ、所属している伊勢ヶ濱一門は弱小であるうえ、一門総帥には理事長を狙う伊勢ヶ濱親方(元横綱・旭富士)がいて、上を目指すための環境としては微妙。そこで、もともと時津風一門の株である『間垣』を継ぐなら、それを口実に時津風一門に移るという手がある。白鵬が本気で協会内で上を目指すなら、十分にあり得ることだ」(若手親方)
早くも様々な思惑が見え隠れする。「まずは、これまでの問題行動をしっかり反省して総括してほしい」(やくみつる氏)といった声は、“大横綱”に届くのだろうか。
※週刊ポスト2021年7月16・23日号