やがて点と点とが連なり、明らかになる真実は、目を背けたくなるほど醜悪だ。
「誰もみな『仮面』をつけていると思うんです。どんなに親しい人でも、心の中のすべてを覗き見ることはできない。そんなことを感じ取って欲しい。映画に例えれば『ソフィーの選択』のように、読んだ人の心に小さな引っかき傷を残すことができれば、本望です」
〈誰にも覗かせない秘密の小部屋〉とあるが、「自分には小部屋どころか大部屋が幾つもあります」と最後に笑った。
【プロフィール】
伊岡瞬(いおか・しゅん)/1960年東京都生まれ。広告会社勤務を経て、2005年『いつか、虹の向こうへ』で第25回横溝正史ミステリ大賞とテレビ東京賞を受賞しデビュー。2016年には『代償』で啓文堂書店文庫大賞を受賞。同作は累計50万部を突破し、2019年の同賞受賞作『悪寒』等ヒット作多数。173.5cm、74kg。「実はここ1か月で5、6kg落としたんです。ほぼ毎日自転車を2時間ほど漕ぎ、食事内容も改善しました。動機? やはり作風に合わせてストイックにならないと (笑い)」。O型。
構成/橋本紀子 撮影/国府田利光
※週刊ポスト2021年7月16・23日号