選手に問いかける「心頭体技」
東海大相模のグラウンドは、いつも公式戦のような緊張感が走っている。ひとつのミスで、仲間から厳しい声が飛ぶのも当たり前の光景だ。
「毎日が試合です。毎日が公式戦。高校野球の難しいところは、負けたら終わってしまうこと。力を蓄える練習も大事ですが、力を発揮する練習も大事。このグラウンドで力を発揮できない人間が、緊張感のある公式戦で力を発揮できるかとなると、難しいと思います」
練習=試合であり、1球、ワンプレーに対する意識と精度に徹底してこだわる。
技術的なアドバイスを送ることはもちろんあるが、手取り足取り教える機会は少ない。
「『体技心』という言葉がありますが、ぼくの中では『心頭体技』。自分がこうなりたいという目標があったうえで、どうすればそこに辿り着くかを考える頭が必要になる。だから、『どうなりたい?』『何が足りない?』『どうしたらいい?』と、問いかけの連続です。問いかけることで、選手のベクトルが自分自身に向くようになります」
2021年春の甲子園で優勝した東海大相模ナイン(時事通信フォト)
門馬監督には持論がある。
「人から教わったことは簡単に捨ててしまうが、自分で掴み取ったことは捨てられない。うまくいかないときでも、捨てられない自分を作り上げなさい」
答えを伝えるのは簡単なことであるが、それでは根本的な成長にはつながらない。東海大相模は、プロだけでなく、大学野球や社会人野球で活躍するOBが多い。高校時代のこうした教えが、きっと結びついているはずだ。