芸能

平山みき 筒美京平さんに言われた「普通の人の感覚を持っていなさい」

平山みきが筒美京平さんとの思い出を振り返る

平山みきが筒美京平さんとの思い出を振り返る

 職業作曲家として、グループ・サウンズ、歌謡曲、アイドル歌謡、J-POPなど、多岐にわたる膨大なヒット曲を世に送り出し、2020年にこの世を去った作曲家・筒美京平さん。メディアに本人が登場することがほとんどなく、その実像はあまり知られていない。そんな筒美さんの“秘蔵っ子”と言われた歌手・平山みきが、歌手人生に寄り添ってくれた筒美さんと、その曲の思い出について語った。

 * * *
 銀座のライブハウス「メイツ」で歌っていた時に日本コロムビアのディレクターにスカウトされ、連れていかれたのが作詞家の橋本淳先生と筒美京平先生が運営されていた宝島音楽事務所でした。そこで京平先生のピアノに合わせて、当時ヒットしていたお二人の曲『ブルー・ライト・ヨコハマ』など何曲か歌ったんです。そうしたら「毎日事務所に来なさい」と。

 1か月後くらいに、のちのデビュー曲『ビューティフル・ヨコハマ』(1970年)をいただいて、1年ほどレッスンを受けました。だからデビュー時の私は宝島音楽事務所所属だったんです。

 でも芸能事務所に所属しないとテレビなどにはなかなか出られない。それで先生たちが2曲目の『真夏の出来事』(1971年)を携えて、芸映に私を預けたんです。この曲はいま聴くとテンポが遅いと思われるかもしれませんが、当時はすごく速い曲でした。徐々にチャートを上がりだして『夜のヒットスタジオ』に出たら、翌日に道を歩いているとみんなが振り返るんですよ。1日で「人生が変わる」というのを実感しましたね。

 歌いたくない時期もあったんですよ。そういう時は先生たちに言って休む。子供を出産した後も休みましたが、先生たちは理解してくださいました。京平先生からは「普通の人の感覚を持っていなさい」と言われていました。少し休んで離れると『真夏の出来事』があってよかったって思えるし、再び新鮮に歌えるんです。そろそろ歌いたいなって思うと、先生たちが動いてくださるという感じでしたね。

 筒美先生の“秘蔵っ子”と言われることは嬉しいです。私の曲がどれも違うパターンだったのは、私の始まりが先生たちの事務所だったからです。芸能事務所やレコード会社の意向に左右されず、先生たちが本当に好きなことにチャレンジできるのが、私の作品だったんだと思います。

【プロフィール】
平山みき(ひらやま・みき)/1949年生まれ、東京都出身。旧芸名は平山三紀。1970年にデビューし、『真夏の出来事』が大ヒット。現在、YouTubeチャンネルで毎週日曜13時~「MikiSanta TV」を放送中。

※週刊ポスト2021年8月13日号

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