「ワクチンを打たない」と安易に話せない閉塞感も(写真/Geety Images)
かつての薬害もうやむやだった
医療従事者の次に優先接種の対象となったのが65才以上の高齢者だ。新型コロナは高齢になるほど致死率が高い。副反応のデメリットがあっても、高齢者はメリットが大きいとされているが、それでもワクチンを打たない選択をした人がいる。大学元教授の70代の女性はこう話す。
「過去の薬害に関する報道をずっと目にしてきて、医薬品の被害者にまともに対応してこなかった国の振る舞い方に不信感を持っています。過去に薬害が指摘された別の病気のワクチンについても、本当に安全で効果があるといえるのか、国はまともに追跡調査してこなかった。今回も接種後にたくさんの人が亡くなっているのに、国は『因果関係が評価できない』と言って、きちんと調べようとしていません。それに対する抗議の意味も込めて、打たないと決意したのです」
とはいえ、重症化しやすい年齢であることは間違いない。コロナへの恐怖心はないのか。「マスコミであれだけあおられ続けると、『怖いかもしれない』と思うことはあります。最近も、私の知り合いが濃厚接触者となり、PCR検査をしたら陽性だったと連絡がありました。コロナが身近に迫っていることを肌で感じましたが、ただ、検査キットを全面的には信頼していないこともあり、あまり不安には感じませんでした。
それに、もうそろそろ“店じまい”する年頃なので、コロナにかかって命を落としても、かまわないと思っています。人間はコロナだけで死ぬわけではありませんし。コロナのリスクも、たくさんあるリスクの1つですから」(70代の元教授)
特に接種を促されやすい立場の高齢者だが、体力が衰えていれば副反応も懸念事項だ。厚労省のホームページでも、心臓などに基礎疾患があり、体力が低下している人は接種を避けた方がいいと表記されている。そろって接種した皇族方の中でも、最高齢の三笠宮妃百合子さま(98才)は、接種されない方針と報道されている。
デマと断言する方がデマではないのか
現在、ワクチンの供給は滞っているが、流通が再開すれば、いったん中止となっている職場接種や大学などでの集団接種も始まるだろう。そのときには、10代、20代の学生たちも接種の対象となる。当人たちは、これをどう受け止めているのか。都内の私立大学に通う4年生の女子学生は、こう吐露する。
「打たないと危ないと考える友人も多く、たくさんの人が接種するのではないかと思います。そんな中で、『反ワクチン』と言われてしまうのが怖くて、『私は打たない』と安易に話せない閉塞感がキャンパスにはあります」
だが、そんな中でも自分は打たないと決めていると女子学生は話す。20代のコロナのリスクが極めて低いことに加え、こんな経験も背景にあるという。
「HPV(子宮頸がん)ワクチンを受けた数年後に、極度の体調不良に陥りました。回復に1年以上要し、治療に大変苦労したのですが、医師から『HPVワクチンの副作用があるのでは?』と言われたんです。それを証明することはできませんが、今回のワクチンも、数年後に病気が起こることがあり得るのではないかと思っています」
また、こうした経験があるからこそ、このワクチンについても詳しく調べ、家族ともかなり話し合ったという。
「ワクチンの副反応に警鐘を鳴らす医師のブログや動画をたくさん見ています。血小板減少症や心筋炎の副反応が問題となっていますし、自己免疫疾患が起こり得ると指摘している医師もいます。それを見ると、やはり安全と断言できないのではないか、というのが私の考えです。
河野太郎ワクチン担当大臣が『不妊や流産になるというのはデマ』と発言して物議をかもしました。しかし、『科学的にはまだ何とも言えない』というのが正しく、デマと断言する方がデマではないでしょうか。不妊や流産だけでなく、あらゆる健康への悪影響は、5年、10年経ってみないとわかりません。副反応に関する報道や議論は短期的なものが多いですが、長期的に健康の影響を考える視点が重要だと考えています」(女子学生)