国際情報

中国河南省の豪雨災害 地方政府の職務怠慢と不正行為を追及へ

自然災害で、地方政府の責任追及を明らかにするのは極めて異例だという

自然災害で、地方政府の責任追及を明らかにするのは極めて異例だという

 中国河南省では「1000年に1度」といわれる7月下旬の大規模な集中豪雨で、現在分かっているだけでも死者は302人、行方不明者が50人以上に上っているほか、直接的な経済損失は1142億6900万元(1兆9400万円)にも達しているという。

 この事態を重く見た習近平国家主席の命令で、中国政府は「鄭州市政府の異常豪雨への対応を調査する特別捜査チーム」を設置し、被害を大きくしたとみられる「職務怠慢と不正行為について責任を追及する」と発表している。自然災害でも被害拡大で、地方政府の責任追及を明らかにするのは極めて異例だ。中国国営新華社電が報じた。

 鄭州市の侯紅市長は記者会見で、同市では292人が死亡、47人が行方不明になっていることを明らかにした。幹線道路上のトンネルや地下鉄の駅構内などの地下空間での市民の溺死は39件にのぼった。

 そのうち、地下鉄5号線の駅構内には多量の水が流れ込んで14人が溺死したほか、多くの乗客が腰や首まで水に浸かり、一睡もできない夜を過ごした。また、北京―広州高速道路上のトンネルも水浸しになり、車が走行不能となって6人が死亡、トンネル内では多くの車が流されて、ぶつかり合い、無残な姿をさらした。

 河南省政府情報局によると、省内全域の150県(市、区)、1663郷(町村)で、1453万以上が被災し、93万3800カ所の緊急避難所に避難したという。

 また、中国の気象台によると、鄭州市では7月の20日から22日までの3日間で平年の1年分の雨が降ったという。

 市当局は異常ともいえる集中豪雨によって、市民の生活に甚大な被害が出ることが予想されたにもかかわらず、退避情報などの何の警報も出さなかったことが分かっており、救援態勢に入ったのは雨が止んだ23日からだった。

 このため、多くの市民がインターネット上で、集中豪雨の退避警告がなぜ出されなかったのか、なぜ地下鉄の運航停止措置をとらなかったのかなど、多くの疑問を提示している。

関連キーワード

関連記事

トピックス

今季から選手活動を休止することを発表したカーリング女子の本橋麻里(Xより)
《日本が変わってきてますね》ロコ・ソラーレ本橋麻里氏がSNSで参院選投票を促す理由 講演する機会が増えて…支持政党を「推し」と呼ぶ若者にも見解
NEWSポストセブン
白石隆浩死刑囚
《女性を家に連れ込むのが得意》座間9人殺害・白石死刑囚が明かしていた「金を奪って強引な性行為をしてから殺害」のスリル…あまりにも身勝手な主張【死刑執行】
NEWSポストセブン
失言後に記者会見を開いた自民党の鶴保庸介氏(時事通信フォト)
「運のいいことに…」「卒業証書チラ見せ」…失言や騒動で謝罪した政治家たちの実例に学ぶ“やっちゃいけない謝り方”
NEWSポストセブン
球種構成に明らかな変化が(時事通信フォト)
大谷翔平の前半戦の投球「直球が6割超」で見えた“最強の進化”、しかしメジャーでは“フォーシームが決め球”の選手はおらず、組み立てを試行錯誤している段階か
週刊ポスト
参議院選挙に向けてある動きが起こっている(時事通信フォト)
《“参政党ブーム”で割れる歌舞伎町》「俺は彼らに賭けますよ」(ホスト)vs.「トー横の希望と参政党は真逆の存在」(トー横キッズ)取材で見えた若者のリアルな政治意識とは
NEWSポストセブン
ベビーシッターに加えてチャイルドマインダーの資格も取得(横澤夏子公式インスタグラムより)
芸人・横澤夏子の「婚活」で学んだ“ママの人間関係構築術”「スーパー&パークを話のタネに」「LINE IDは減るもんじゃない」
NEWSポストセブン
LINEヤフー現役社員の木村絵里子さん
LINEヤフー現役社員がグラビア挑戦で美しいカラダを披露「上司や同僚も応援してくれています」
NEWSポストセブン
モンゴル滞在を終えて帰国された雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、戦後80年の“かつてないほどの公務の連続”で体調は極限に近い状態か 夏の3度の静養に愛子さまが同行、スケジュールは美智子さまへの配慮も 
女性セブン
場所前には苦悩も明かしていた新横綱・大の里
新横綱・大の里、場所前に明かしていた苦悩と覚悟 苦手の名古屋場所は「唯一無二の横綱」への起点場所となるか
週刊ポスト
医療的ケア児の娘を殺害した母親の公判が行われた(左はイメージ/Getty、右は福岡地裁)
24時間介護が必要な「医療的ケア児の娘」を殺害…無理心中を計った母親の“心の線”を切った「夫の何気ない言葉」【判決・執行猶予付き懲役3年】
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン