スポーツ

野村克也さん、沙知代夫人の亡き後語った「あいつは頼りになった」

「生まれ変わっても沙知代と結婚したい」と語っていた野村克也さん(写真/共同通信社)

野村克也さんの笑顔(写真/共同通信社)

 南海、ヤクルト、阪神、楽天の監督を務めた“名将”野村克也氏は昨年2月11日、自宅の浴槽でぐったりしていたのを家政婦が発見し、その後死亡が確認された。84歳だった。晩年の野村氏のマネージメントをしていたのはプロ野球代理人(エージェント)である団野村氏の事務所だった。団野村氏は2017年に亡くなった野村沙知代さんと米国人の前夫との間に生まれ、野村氏は継父にあたる。野村夫妻が出会った当時、団氏は13歳だった。団氏が振り返る。

 * * *
 中学で野球を始めましたが、監督(克也氏)の影響もあったと思います。アメリカン・スクールの野球部に入部すると、文部省の許可を受けていないので大会に出られず練習試合ばかり。そこで監督の紹介で近大付属高の練習に参加し、夏休みの3か月と冬の1か月は(同校の)監督の自宅に下宿しながら強豪校の猛練習を経験したことが、私の人生にも大きく影響しました。

 プロ野球選手も目指しましたが、サッチー(沙知代さん)は“大学は出なさい”という意向でした。ところがアメリカン・スクールから日本の大学に行けなかった。監督が「どうせ目指すなら大リーグを目指せ。アメリカの大学に進めばいい」と後押ししてくれた。それで米国の大学に2年間通いましたが、ヤクルトの入団テストに合格したので帰国。監督が陰でフォローしてくれたんだと思います。親の七光りです。

 4年間プロでプレーし、再び米国に戻ってビジネスを始め、エージェントになりました。

 監督は口数が少ないが、その一言に重みがあります。巨人の入団テストも受けて最終まで残ったが、その時に軽い気持ちで友達を連れて行ったんです。これを知った監督は「採用する側は仕事をもらいにいく姿勢も見ているんだ。立場をわきまえろ」と怒った。監督に怒鳴られたのは、後にも先にもこの一度だけでした。

 監督は、貧しかった子供の頃の話をよくしてくれました。テスト生としてプロを目指したこと、新聞配達をして家計を支えたこと……そうした話も、私の人生や考えを変えてくれました。監督は「会社はどうなんだ」「なんでも準備は大事やで」「儲けるだけじゃなく人を残さないとダメだぞ。人だからな」といつも語りかけてくれた。

 本人の前では何も言わなかったのに、サッチーが亡くなってからは口を開くとサッチーの話をしていました。「俺より先に逝きやがって……」「あいつは頼りになった」「いなくなって困る」と。「寂しい」という言葉は使わないけれど寂しさが溢れていた。

関連キーワード

関連記事

トピックス

今季から選手活動を休止することを発表したカーリング女子の本橋麻里(Xより)
《日本が変わってきてますね》ロコ・ソラーレ本橋麻里氏がSNSで参院選投票を促す理由 講演する機会が増えて…支持政党を「推し」と呼ぶ若者にも見解
NEWSポストセブン
白石隆浩死刑囚
《女性を家に連れ込むのが得意》座間9人殺害・白石死刑囚が明かしていた「金を奪って強引な性行為をしてから殺害」のスリル…あまりにも身勝手な主張【死刑執行】
NEWSポストセブン
失言後に記者会見を開いた自民党の鶴保庸介氏(時事通信フォト)
「運のいいことに…」「卒業証書チラ見せ」…失言や騒動で謝罪した政治家たちの実例に学ぶ“やっちゃいけない謝り方”
NEWSポストセブン
球種構成に明らかな変化が(時事通信フォト)
大谷翔平の前半戦の投球「直球が6割超」で見えた“最強の進化”、しかしメジャーでは“フォーシームが決め球”の選手はおらず、組み立てを試行錯誤している段階か
週刊ポスト
参議院選挙に向けてある動きが起こっている(時事通信フォト)
《“参政党ブーム”で割れる歌舞伎町》「俺は彼らに賭けますよ」(ホスト)vs.「トー横の希望と参政党は真逆の存在」(トー横キッズ)取材で見えた若者のリアルな政治意識とは
NEWSポストセブン
ベビーシッターに加えてチャイルドマインダーの資格も取得(横澤夏子公式インスタグラムより)
芸人・横澤夏子の「婚活」で学んだ“ママの人間関係構築術”「スーパー&パークを話のタネに」「LINE IDは減るもんじゃない」
NEWSポストセブン
LINEヤフー現役社員の木村絵里子さん
LINEヤフー現役社員がグラビア挑戦で美しいカラダを披露「上司や同僚も応援してくれています」
NEWSポストセブン
モンゴル滞在を終えて帰国された雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、戦後80年の“かつてないほどの公務の連続”で体調は極限に近い状態か 夏の3度の静養に愛子さまが同行、スケジュールは美智子さまへの配慮も 
女性セブン
場所前には苦悩も明かしていた新横綱・大の里
新横綱・大の里、場所前に明かしていた苦悩と覚悟 苦手の名古屋場所は「唯一無二の横綱」への起点場所となるか
週刊ポスト
医療的ケア児の娘を殺害した母親の公判が行われた(左はイメージ/Getty、右は福岡地裁)
24時間介護が必要な「医療的ケア児の娘」を殺害…無理心中を計った母親の“心の線”を切った「夫の何気ない言葉」【判決・執行猶予付き懲役3年】
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン