阪神のロハス・ジュニアが覚醒している。韓国リーグで4年間すべて打率3割、昨シーズンは47本塁打、135打点で二冠に輝きMVPも受賞。鳴り物入りで阪神入りしたが、コロナ禍による来日遅れが影響して、前半戦は一軍で結果が残せなかった。それがここにきて連日、結果を残しているのだ。
前半戦はわずか17試合の出場にとどまり、51打数5安打で打率.098、本塁打1本、3打点という成績に終わっていた。昨年、メジャー通算92本塁打の実績から“バースの再来”と騒がれたものの、“空砲”で終わったボーアと重ね合わせる阪神ファンも少なくなかったほどだ。
そんなロハスだったが、8月13日から再開した後半戦では6番レフトでスタメン出場。前半戦では主に3番を任されていたマルテが、東京五輪によるシーズン中断の期間を利用してドミニカ共和国に一時帰国していたことで二軍調整となり、代役として起用されたのだ。
シーズン再開後の1試合目(広島戦=13日)こそ4打数無安打で終わったが、翌日からは5試合連続ヒットを記録し、DeNA戦(18日)では先制本塁打を放った。守備でも「メジャー時代は守備の人」と言われただけあって、ファインプレーでチームの連勝に貢献。マルテ不在の間に猛アピールしている。
果たしてロハスが、後半戦の救世主となるのか、あるいは前半戦の調子に戻ってしまうのか。阪神の16年ぶりの優勝へのキーマンに浮上した格好だ。
阪神で4番を打ち、2003年のリーグ優勝に貢献した広澤克実氏は、「シーズン前、関係者にロハスのハイライトをまとめたPV(プロモーションビデオ)を見せてもらったけど、最高でしたよ。いろんな外国人選手のものを見てきたけど、あそこまで凄い選手はいなかったから驚いた」と振り返る。
「2018年に来たロサリオのPVでは、スライダーを引き付けて反対方向へ飛ばす本塁打は1本もなかったけど、ロハスは全部の球種を全方向に打っていた。あれを見る限りとんでもないバッターだと思いました。とにかく才能はあると思うから、前半戦で打てなかったのは、練習しないままに来日して、そのまま(コロナ対応で)2週間隔離になったのが原因ではないか。非常に期待が高かったので、歯車が狂ったんだと思う」(広澤氏)