ライフ

降圧剤 医師が教える健康のための「減薬」や「断薬」の注意点

降圧剤を服用する上で注意すべき点を医師が解説(写真は谷本哲也医師)

降圧剤を服用する上で注意すべき点を医師たちが解説(写真は谷本哲也医師)

 多くの日本人が、「生活習慣病」の治療薬と長い付き合いをしている。厄介なのは、複数の基礎疾患を抱えた人の「多剤併用」だ。内科医の谷本哲也医師(ときわ会常磐病院)が解説する。

「何種類もの薬を同時に飲む多剤併用の問題は、その組み合わせによって薬の効果が強まったり、反対に弱まったりする場合があることです。一般的には、6種以上の薬の服用で副作用リスクが高まると言われます」

 近年は多くの専門家が多剤併用リスクに警鐘を鳴らしている。2015年、日本老年医学会は「高齢者に対して特に慎重な投与を要する薬物のリスト」を作成。同リストをもとにした医師向けの「適正処方の手引き」(日本医師会)では、薬の主成分を指す「一般名」に加え「商品名」が追記されている。今回はそのリストを掲載した。各分野の断薬の名医の解説とともに参照してもらいたい。谷本医師は言う。

「高齢になると肝臓や腎臓の機能が低下し、代謝や排泄の能力が下がります。それに伴って副作用が生じるケースが増加する。どんな薬にも言えることですが、年齢を重ねた人ほど医師との適切なコミュニケーションを取り、体調を確認したうえで、減薬や断薬を考えたほうがいい」

 健康のための「減薬」や「断薬」とはどういうものか。臨床現場で実践する断薬の名医たちの知見を参考に考えていく。

 いまや国民病とも言われる「高血圧」の治療薬である降圧剤は「一度飲んだらやめられない薬」のイメージが強い。しかし、坂東ハートクリニック院長の坂東正章医師は「医師の指導のもとで正しいプロセスを踏めばやめることは可能だ」と語る。その第一歩として坂東医師が掲げるのは「正確な数値の把握」だ。

「高血圧患者の多くが正しく血圧を測れていません。朝なら朝食前、夜なら就寝前の排尿後に、自宅で計測する家庭血圧が実態に近い数字。計測は椅子に座って腕帯を心臓の高さにし、無理のない姿勢で行ないます」

 同クリニックでは血圧の測り方を指導後、降圧の目標値を決めて治療を進めている。

「たとえば降圧目標が家庭血圧で135/85mmHgの患者さんなら、130未満が3日間続いた時点で薬を減らす。その後、家庭血圧が120台で安定すれば通院の必要はありません。同時に、患者自身が血圧上昇の原因を見極め、食事などの生活習慣改善を進めることで、 “薬に頼らない状態”を目指します」(坂東医師)

関連キーワード

関連記事

トピックス

モンゴル滞在を終えて帰国された雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、戦後80年の“かつてないほどの公務の連続”で体調は極限に近い状態か 夏の3度の静養に愛子さまが同行、スケジュールは美智子さまへの配慮も 
女性セブン
場所前には苦悩も明かしていた新横綱・大の里
新横綱・大の里、場所前に明かしていた苦悩と覚悟 苦手の名古屋場所は「唯一無二の横綱」への起点場所となるか
週刊ポスト
LINEヤフー現役社員の木村絵里子さん
LINEヤフー現役社員がグラビア挑戦で美しいカラダを披露「上司や同僚も応援してくれています」
NEWSポストセブン
医療的ケア児の娘を殺害した母親の公判が行われた(左はイメージ/Getty、右は福岡地裁/時事通信)
24時間介護が必要な「医療的ケア児の娘」を殺害…無理心中を計った母親の“心の線”を切った「夫の何気ない言葉」【判決・執行猶予付き懲役3年】
NEWSポストセブン
運転席に座る広末涼子容疑者
《事故後初の肉声》広末涼子、「ご心配をおかけしました」騒動を音声配信で謝罪 主婦業に励む近況伝える
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン
レッドカーペットを彩った真美子さんのピアス(時事通信)
《価格は6万9300円》真美子さんがレッドカーペットで披露した“個性的なピアス”はLAデザイナーのハンドメイド品! セレクトショップ店員が驚きの声「どこで見つけてくれたのか…」【大谷翔平と手繋ぎ登壇】
NEWSポストセブン
鶴保庸介氏の失言は和歌山選挙区の自民党候補・二階伸康氏にも逆風か
「二階一族を全滅させる戦い」との声も…鶴保庸介氏「運がいいことに能登で地震」発言も攻撃材料になる和歌山選挙区「一族郎党、根こそぎ潰す」戦国時代のような様相に
NEWSポストセブン
竹内朋香さん(左)と山下市郎容疑者(左写真は飲食店紹介サイトより。現在は削除済み)
《浜松ガールズバー殺人》被害者・竹内朋香さん(27)の夫の慟哭「妻はとばっちりを受けただけ」「常連の客に自分の家族が殺されるなんて思うかよ」
週刊ポスト
真美子さん着用のピアスを製作したジュエリー工房の経営者が語った「驚きと喜び」
《真美子さん着用で話題》“個性的なピアス”を手がけたLAデザイナーの共同経営者が語った“驚きと興奮”「子どもの頃からドジャースファンで…」【大谷翔平と手繋ぎでレッドカーペット】
NEWSポストセブン
サークル活動に精を出す悠仁さま(2025年4月、茨城県つくば市。撮影/JMPA)
《普通の大学生として過ごす等身大の姿》悠仁さまが筑波大キャンパス生活で選んだ“人気ブランドのシューズ”ロゴ入りでも気にせず着用
週刊ポスト