国内

年収200万円の漫画家が大切にする「幸せの基準を自分の中に持つこと」

年収

お金に関して「努力」しようとしても、障壁がある(写真はイメージ)

 人生100年、老後資金2000万円といわれても、ない袖は振れない。がんばっても、がんばろうとしても「努力する力」も「集中力」さえも、遺伝子で決まっているならば、がんばりようもない──。そんな社会を作家の橘玲さんは最新刊『無理ゲー社会』で攻略困難なゲーム「無理ゲー」にたとえた。

「自分らしく生きることが当たり前になると、『自分らしさって何?』という疑問が生まれます。でもそこに答えはなく、永遠に探し求めることになってしまう。それに、みんなが自己実現できるわけではありません。にもかかわらず『自分だけの夢や目標を実現しなくてはならない』という無言の圧力が社会全体を覆っています」(橘さん)

 そして、もしも夢を実現できなかったら「人生の敗者」となってしまうかもしれない。しかし、夢を実現しようと努力しようにも、簡単ではない現実もある。

「子供への遺伝を論じることは長らくタブーでしたが、いまでは知能や学力に遺伝が大きく影響することは行動遺伝学の定説です。しかもこれまで後天的に身につくとされてきた『努力できるかどうか』や『集中力』、『やる気』も最新の知見では半分程度は遺伝が影響している」(橘さん)

 様々な観点から“無理ゲー社会”を読み解いた橘氏。そんな社会を生き抜く術として、お金に活路を見出す人もいるだろう。たしかに、お金さえあればなんとかなるのも事実だ。しかし、逆に経済的成功を勝ち取るためのゲームから降り、ゆるやかに楽しく暮らす方法もある。

 ひとり暮らしの生活を楽しみながら節約する日常を綴った絵日記『おひとりさまのゆたかな年収200万生活』シリーズ(KADOKAWA)が話題の漫画家・おづまりこさんは、自身の心地よさを追求した結果、「年間200万円生活」に落ち着いたという。おづさんは23才で上京し、シェアハウスに住みながら派遣社員として働いた後、シェアハウスの解散を機に、古いアパートでひとり暮らしを始めた。しかし、引っ越し後すぐ派遣切りに見舞われる。

「もともと漠然とした生きづらさを抱えていましたが、ひとり暮らしになった頃はどん底で、ネガティブな気持ちを少しでも減らそうとネットで漫画を描き始めたら、運よく注目されました。すると今度は忙しすぎて、再就職した派遣の仕事との兼ね合いが難しくなってしまった。当時は派遣切りにあった経験からお金がなくなることがいちばんの不安と思い込み、ダブルワークで休みなく働いて不眠症になる一方、ネットの評判も気にしていました」(おづさん・以下同)

 おづさんの転機は、受診した睡眠外来で、いまの状況をよいと考えるか悪いと考えるかはあなた次第だと言われたことだった。

「その言葉に吹っ切れて、自分がしたいことを優先しようと考え、思い切って派遣をやめると、急に気が楽になりました。ネットではすごく贅沢で派手な生活をしている人にばかり目が行くけど、私にとってはお金をかけることよりいつもの生活をできるだけ楽しむことが大事なんだなと思い、節約しながら自炊したり前より“衣食住”を大切にするようになりました」

関連記事

トピックス

「第65回海外日系人大会」に出席された秋篠宮ご夫妻(2025年9月17日、撮影/小倉雄一郎)
《パールで華やかさも》紀子さま、色とデザインで秋を“演出”するワンピースをお召しに 日系人らとご交流
NEWSポストセブン
立場を利用し犯行を行なっていた(本人Xより)
【未成年アイドルにわいせつ行為】〈メンバーがみんなから愛されてて嬉しい〉芸能プロデューサー・鳥丸寛士容疑者の蛮行「“写真撮影”と偽ってホテルに呼び出し」
NEWSポストセブン
2024年末、福岡県北九州市のファストフード店で中学生2人を殺傷したとして平原政徳容疑者が逮捕された(容疑者の高校時代の卒業アルバム/容疑者の自宅)
「軍歌や歌謡曲を大声で歌っていた…」平原政徳容疑者、鑑定留置の結果は“心神耗弱”状態 近隣住民が見ていた素行「スピーカーを通して叫ぶ」【九州・女子中学生刺殺】
NEWSポストセブン
佳子さまを撮影した動画がXで話題になっている(時事通信フォト)
《佳子さまどアップ動画が話題》「『まぶしい』とか『神々しい』という印象」撮影者が振り返る “お声がけの衝撃”「手を伸ばせば届く距離」
NEWSポストセブン
個別指導塾「スクールIE」の元教室長・石田親一容疑者(左/共同通信、右/公式サイトより※現在は削除済み)
《“やる気スイッチ”塾でわいせつ行為》「バカ息子です」母親が明かした、3浪、大学中退、27歳で婚約破棄…わいせつ塾講師(45)が味わった“大きな挫折
NEWSポストセブン
池田被告と事故現場
《飲酒運転で19歳の女性受験生が死亡》懲役12年に遺族は「短すぎる…」容疑者男性(35)は「学校で目立つ存在」「BARでマジック披露」父親が語っていた“息子の素顔”
NEWSポストセブン
個別指導塾「スクールIE」の元教室長・石田親一容疑者(公式サイトより※現在は削除済み)
《15歳女子生徒にわいせつ》「普段から仲いいからやっちゃった」「エスカレートした」“やる気スイッチ”塾講師・石田親一容疑者が母親にしていた“トンデモ言い訳”
NEWSポストセブン
9月6日に悠仁さまの「成年式」が執り行われた(時事通信フォト)
【なぜこの写真が…!?】悠仁さま「成年式」めぐりフジテレビの解禁前写真“フライング放送”事件 スタッフの伝達ミスか 宮内庁とフジは「回答は控える」とコメント
週刊ポスト
交際が報じられた赤西仁と広瀬アリス
《赤西仁と広瀬アリスの海外デートを目撃》黒木メイサと5年間暮らした「ハワイ」で過ごす2人の“本気度”
NEWSポストセブン
世界選手権東京大会を観戦される佳子さまと悠仁さま(2025年9月16日、写真/時事通信フォト)
《世界陸上観戦でもご着用》佳子さま、お気に入りの水玉ワンピースの着回し術 青ジャケットとの合わせも定番
NEWSポストセブン
秋場所
「こんなことは初めてです…」秋場所の西花道に「溜席の着物美人」が登場! 薄手の着物になった理由は厳しい暑さと本人が明かす「汗が止まりませんでした」
NEWSポストセブン
和紙で作られたイヤリングをお召しに(2025年9月14日、撮影/JMPA)
《スカートは9万9000円》佳子さま、セットアップをバラした見事な“着回しコーデ” 2日連続で2000円台の地元産イヤリングもお召しに 
NEWSポストセブン