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空気の入れ替え、乾燥対策のためにも換気は有効(写真/Getty Images)

肺炎の症状が早くなる恐れ

 怖いのは乾燥だけではない。冒頭で喉の痛みを訴えた平山さんが再び話す。

「自宅にいると咳が出るのですが、お盆に実家へ帰っていた間は、クーラーがついていてもなんともなかったんです。そういえば、今年ほどではありませんが、昨年の夏も咳に悩まされたのに、秋になると症状がなくなって、そのまま忘れていました。例年、症状が悪化している感じです」

 平山さんの場合、乾燥だけではなく、クーラーの「カビ」が原因で咳が出ている可能性がある。このカビは、悪化すると肺炎になることもあるという。上さんが言う。

「夏場に乾いた咳や発熱、だるさが続く場合、『夏型過敏性肺炎』が疑われます。過敏性肺炎にはさまざまな種類がありますが、そのうち、約75%が夏型過敏性肺炎だとされます。

 その原因は、『トリコスポロン』というカビです。これは皮膚や土壌など、どこにでも存在しますが、アレルギー症状を引き起こす人が一定数います。トリコスポロンの数が多い自宅にいると咳が出て、外出したり、季節が変わると症状がおさまるといったケースは珍しくありません」

 なぜ、秋になると症状が緩和するのかというと、トリコスポロンは気温20℃以上、湿度60%以上になると活発になる特徴を持つからだ。6~9月が最も危険とされ、高温多湿であればあるほど繁殖しやすく、アレルギーの原因となる胞子を多く飛ばすようになる。夏型過敏性肺炎は、家にいる時間が長い主婦に患者が多いといわれ、数年間それを繰り返しているうちに慢性化し、肺の柔らかい組織が硬くなってしまう。

 すると肺の機能が低下し、もう元には戻らなくなる。ひどくなれば、呼吸不全に陥る可能性もある恐ろしい病気だ。

 さらに、こんなリスクも指摘される。

「夏型過敏性肺炎を患っている人が新型コロナに感染した場合、ただでさえ弱っている肺には大きな負担となります。症状の悪化が普通よりも早まる恐れがあり、危険な状態です」(上さん)

 つまり、軽視してはいけないということだ。

 最近は、自宅でPCR検査ができるキットも発売されている。咳が出て、熱っぽいから自宅でPCR検査キットを試し、結果が陰性だったから安心すると、「感染予防のため病院へ行かない」という人もいるという。

 だが、自己判断で体調不良を放置することは、万一の場合に命にかかわるリスクとなり得る。しっかり感染症対策をした上で病院へ行き、原因を把握しておくのが正しい選択だ。

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