二階俊博・幹事長(時事通信フォト)

「失礼な話」と指摘した二階俊博幹事長(写真/時事通信フォト)

 東京五輪についても、「人類が新型コロナに打ち勝った証となる大会」なんてのたまい批判を浴び、さすがにそれはないだろうと思ったが、蓋を開ければ世界中でデルタ株による感染者が増加し、日本には第5波が襲来。こんな事態になるとは予想出来なかったのか、想像しなかったのか。政府のコロナ対策はこれまでも後手後手に回り、何度も同じようなことを繰り返してきた。尾身会長の言うような楽観的な状況分析が染みついてしまったのだろうか。

 22日に投開票された横浜市長選の結果もそうだ。菅首相のお膝元で首相が支援した前国家公安委員長の小此木八郎氏が惨敗。「この人なら戦える、勝てる」という自民党の読みは外れた。だが首相は、この結果を「大変残念な結果」、「謙虚に受け止める」としながら、9月29日に投開票が決まった自民党総裁選挙への出馬に意欲を見せているという。

 予定通り行われれば、次期衆議院選挙は10月以降に実施される。地方では横浜市長選の結果を受け、“菅首相では衆院選は戦えない”との声が強まっているが、二階俊博幹事長はこれを「誰々さんでは選挙は戦えないとは失礼な話だ」と一蹴、「誰がやっても難しいときです」と述べたのだ。

 はたから見ると、こういう時だからこそ“誰々さんしかいない”と自民党が一枚岩になって結束を固める時だろう。「誰がやっても」などという言葉が二階幹事長から出てくるのは、満場一致で次期総裁なれるだけの人物がいないという党内事情をさらけ出しているだけに聞こえる。

 企業経営では、成功してきた企業ほど、変革に必要なコストが大きくなるため変革しない方が合理的という“不条理”に陥ることがある。まさに今の自民党はこんな感じではないだろうか。菅首相や二階幹事長の言葉は、今のままの体制では危機対応も問題解決も難しいことを露呈させた気がする。

「ピンチはチャンス」とも言う。今がこのような見方、考え方を劇的に変える「パラダイムシフト」の時ではないだろうか。

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