国内

60代女性記者 茨城の閑散とした街で感じる「密を避けて」の虚しさ

「密」

東京を離れたオバ記者が「密」について考えた(写真はイメージ)

 新型コロナウイルス感染拡大の影響は日本全国に及んでいるが、地域によってその捉え方も異なるだろう。『女性セブン』のアラ還名物ライター“オバ記者”こと野原広子は、この8月に東京から実家がある茨城県に移り住んだ。オバ記者がコロナ禍の茨城で思ったこととは……。

 * * *
 コロナ禍だ、ワクチンだ、変異ウイルスだ。あぁ、もうウンザリだわ。

 東京都の感染者数は5000人前後を行ったり来たりして、知り合いの知り合いに感染者が出たという噂が聞こえてくる。そのうち知り合いも? と思うと、何とも言えない気持ちだ。

 私は8月初めから東京を離れ、茨城の実家に帰っている。「コロナ疎開?」と聞かれ、とっさに「まさか~。母親の介護だよ」と笑っていたけど、考えてみたら病院や施設のお見舞いが禁止になっていなかったら、自宅介護を買って出たりしなかった。そういう意味では私もコロナ疎開と言えなくもないかもね。

 でも、そのかいあって、1か月前に体の自由も言葉も表情までもなくして退院してきた母親は、往診にきた担当医が「医学では解明できません」とかぶりを振るほどの回復ぶりだ。

 おむつ交換を終えた私に「お世話さま」と労いの言葉をかけたり、好物のところてんの酢加減を指示したりと、なかなかの因業バアさまぶりを発揮している。

 三度三度の食事の用意やシモの世話で明け暮れている自分を、時々「何してんだ?」と、田舎の静かな夜更けに考えたりするし、大変といえば毎日が大変。だけど、最もキツいのはそんなことではなくて、人とのふれあいが限られたことなんだよね。

 自宅介護は多くの人の手を借りる。総合案内係のケアマネジャー、医学知識を持った訪問看護師、介護を直接手助けしてくれるヘルパー、自宅入浴をしてくれるスタッフなどなど。誰かが毎日わが家にやって来て、それぞれの役割を果たしてくれている。

 介護の最大のパートナーとなっている弟夫婦はほぼ毎日顔を出してくれるし、幼なじみの友達も「どした~?」と様子を見に来る。人とのつながりがないどころか、わが生涯を振り返っても、これほど大勢の人に助けられたことはないと思う。

 しかし私、この1か月、一度も誰かと食卓を囲んでいないの。コロナ禍で介護をしている私は誰かと食事に行く余裕がないし、誘ってくれる人もいないんだわ。

 で、どんな食生活をしているかというと、母親用に用意したご飯の残りものを丼にのせたものをかっこんでいる。夜は缶ビールを1本飲んで、ありあわせのものを食べて寝る。

関連キーワード

関連記事

トピックス

鉄板焼きデートが目撃されたKing & Princeの永瀬廉、浜辺美波
《デートではお揃い服》お泊まり報道の永瀬廉と浜辺美波、「24時間テレビ」放送中に配慮が見られた“チャリT”のカラー問題
NEWSポストセブン
経済同友会の定例会見でサプリ購入を巡り警察の捜査を受けたことに関し、頭を下げる同会の新浪剛史代表幹事。9月3日(時事通信フォト)
《苦しい弁明》“違法薬物疑惑”のサントリー元会長・新浪剛史氏 臨床心理士が注目した会見での表情と“権威バイアス”
NEWSポストセブン
海外のアダルトサイトを通じてわいせつな行為をしているところを生配信したとして男女4人が逮捕された(海外サイトの公式サイトより)
《公然わいせつ容疑で男女4人逮捕》100人超える女性が在籍、“丸出し”配信を「黙認」した社長は高級マンションに会社登記を移して
NEWSポストセブン
2才の誕生日を迎えた悠仁さま(写真/宮内庁提供)
【9月6日で19才に】悠仁さま、40年ぶりの成年式へ 御料牧場、小学校の行事、初海外のブータン、伊勢新宮をご参拝、部活動…歩まれてきた19年を振り返る 
女性セブン
麻薬取締法違反で逮捕された俳優の清水尋也容疑者(26)
「同棲していたのは小柄な彼女」大麻所持容疑の清水尋也容疑者“家賃15万円自宅アパート”緊迫のガサ当日「『ブーッ!』早朝、大きなクラクションが鳴った」《大家が証言》
NEWSポストセブン
当時の水原とのスタバでの交流について語ったボウヤー
「大谷翔平の名前で日本酒を売りたいんだ、どうかな」26億円を詐取した違法胴元・ボウヤーが明かす、当時の水原一平に迫っていた“大谷マネーへの触手”
NEWSポストセブン
麻薬取締法違反で逮捕された俳優の清水尋也容疑者(26)
《同居女性も容疑を認める》清水尋也容疑者(26)Hip-hopに支えられた「私生活」、関係者が語る“仕事と切り離したプライベートの顔”【大麻所持の疑いで逮捕】
NEWSポストセブン
サントリー新浪剛史会長が辞任したことを発表した(X、時事通信フォト)
大麻成分疑いで“ガサ入れ”があったサントリー・新浪剛史元会長の超高級港区マンション「かつては最上階にカルロス・ゴーンさんも住んでいた」
NEWSポストセブン
賭博の胴元・ボウヤーが暴露本を出版していた
大谷翔平から26億円を掠めた違法胴元・ボウヤーが“暴露本”を出版していた!「日本でも売りたい」“大谷と水原一平の真実”の章に書かれた意外な内容
NEWSポストセブン
ロコ・ソラーレ(時事通信フォト)
《メンバーの夫が顔面骨折の交通事故も》試練乗り越えてロコ・ソラーレがミラノ五輪日本代表決定戦に挑む、わずかなオフに過ごした「充実の夫婦時間」
NEWSポストセブン
サークル活動にも精を出しているという悠仁さま(写真/共同通信社)
悠仁さまの筑波大キャンパスライフ、上級生の間では「顔がかっこいい」と話題に バドミントンサークル内で呼ばれる“あだ名”とは
週刊ポスト
米カリフォルニア州のバーバンク警察は連続“尻嗅ぎ犯”を逮捕した(TikTokより)
《書店で女性のお尻を嗅ぐ動画が拡散》“連続尻嗅ぎ犯” クラウダー容疑者の卑劣な犯行【日本でも社会問題“触らない痴漢”】
NEWSポストセブン