ライフ

降圧剤の多剤併用リスク 高カリウム血症を引き起こすと最悪心停止も

降圧剤と他の薬を併用する際は注意が必要(イメージ)

降圧剤と他の薬を併用する際は注意が必要(イメージ)

 服用している薬が多すぎると、「組み合わせ」によって“飲めば飲むほど不健康になるリスク”が増していく。実際に処方された患者の事例から、医師・薬剤師が一緒に飲んだら危ない「あの薬」と「この薬」の組み合わせを解説する。

 日本病院薬剤師会は2018年2月に『多剤投薬の患者に対する病院薬剤師の対応事例集』を公開。同会は多剤投薬の実態調査の一環として、全国48の病院から対応事例を集積し、内容を精査・厳選したうえで33の事例を詳細に紹介している。

 そのなかから「降圧剤」に関するケースを見ていく。『事例集』の〈漫然投与に対する対応〉という分類のなかに、過去に急性汎自律神経失調症や総胆管結石などを患って複数の医療機関を受診していた80代男性(別表の症例)の例が紹介されている。免疫治療のために病院を訪れた際に多剤処方の実態が判明した。

漫然投与されていた80代男性患者の事例

降圧剤を4種類服用することになっていた80代男性患者の事例

 医師から漫然と処方されていると思われる薬が多く見られ、降圧剤だけでARB、ACE阻害薬、β遮断薬、カルシウム拮抗薬の4種類が処方されていた。さらに抗てんかん薬や胃腸薬、便秘薬などのほか、ビタミン剤や漢方薬など実に計30種類もの薬を服用していたという。国際医療福祉大学病院内科学予防医学センター教授の一石英一郎医師が指摘する。

「降圧剤はそれぞれ、別のタイプと一緒に飲むことで効果が増強されます。それが奏功することもありますが、80代で4種類もの降圧剤を併用すると効きすぎるリスクが高い。血圧低下により胃粘膜への血流が減って吐き気や腹痛、食欲不振などの症状が出るほか、心臓が多くの血液を送り出そうと強く働いて動悸や息切れが起こることがあります。

 特に高齢者は脳への血流が減少してめまいや立ちくらみを起こし、転倒事故のリスクが高まります。転倒による骨折から寝たきりになる恐れもあるので、さらに注意が必要です」

 この症例にはさらに“危ない組み合わせ”が潜んでいた。

『知ってはいけない薬のカラクリ』(小学館新書)の著者で内科医の谷本哲也氏(ナビタスクリニック川崎)が問題点を指摘する。

「類似の作用を持つ降圧剤のACE阻害薬とARBの併用は、腎機能障害や高カリウム血症を引き起こす恐れがあり、高血圧学会のガイドラインでも推奨されていません。腎機能が低下すると血中カリウムが体外に十分排出されず、高カリウム血症に陥るリスクがあるのです。

 不整脈の原因となる高カリウム血症は、最悪の場合は心停止してしまう病なので、特に腎機能が低下しやすい高齢の方は十分な注意が必要です」

 降圧剤との併用で注意すべき組み合わせは、上記の症例以外にもある。

関連記事

トピックス

初公判は9月9日に大阪地裁で開かれた
「全裸で浴槽の中にしゃがみ…」「拒否ったら鼻の骨を折ります」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が明かした“エグい暴行”「警察が『今しかないよ』と言ってくれて…」
NEWSポストセブン
指名手配中の八田與一容疑者(提供:大分県警)
《ひき逃げ手配犯・八田與一の母を直撃》「警察にはもう話したので…」“アクセルベタ踏み”で2人死傷から3年半、“女手ひとつで一生懸命育てた実母”が記者に語ったこと
NEWSポストセブン
初公判では、証拠取調べにおいて、弁護人はその大半の証拠の取調べに対し不同意としている
《交際相手の乳首と左薬指を切断》「切っても再生するから」「生活保護受けろ」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が語った“おぞましいほどの恐怖支配”と交際の実態
NEWSポストセブン
芸能活動を再開することがわかった新井浩文(時事通信フォト)
「ウチも性格上ぱぁ~っと言いたいタイプ」俳優・新井浩文が激ヤセ乗り越えて“1日限定”の舞台復帰を選んだ背景
NEWSポストセブン
国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白(左/時事通信フォト)
「あなたは日テレに捨てられたんだよっ!」国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白「今の状態で戻っても…」「スパッと見切りを」
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン
ドラフト1位の大谷に次いでドラフト2位で入団した森本龍弥さん(時事通信)
「二次会には絶対来なかった」大谷翔平に次ぐドラフト2位だった森本龍弥さんが明かす野球人生と“大谷の素顔”…「グラウンドに誰もいなくなってから1人で黙々と練習」
NEWSポストセブン
小説「ロリータ」からの引用か(Aでメイン、民主党資料より)
《女性たちの胸元、足、腰に書き込まれた文字の不気味…》10代少女らが被害を受けた闇深い人身売買事件で写真公開 米・心理学者が分析する“嫌悪される理由”とは
NEWSポストセブン
ラオスを訪問された愛子さま(写真/共同通信社)
《「水光肌メイク」に絶賛の声》愛子さま「内側から発光しているようなツヤ感」の美肌の秘密 美容関係者は「清潔感・品格・フレッシュさの三拍子がそろった理想の皇族メイク」と分析
NEWSポストセブン
国宝級イケメンとして女性ファンが多い八木(本人のInstagramより)
「国宝級イケメン」FANTASTICS・八木勇征(28)が“韓国系カリスマギャル”と破局していた 原因となった“価値感の違い”
NEWSポストセブン
今回公開された資料には若い女性と見られる人物がクリントン氏の肩に手を回している写真などが含まれていた
「君は年を取りすぎている」「マッサージの仕事名目で…」当時16歳の性的虐待の被害者女性が訴え “エプスタインファイル”公開で見える人身売買事件のリアル
NEWSポストセブン
タレントでプロレスラーの上原わかな
「この体型ってプロレス的にはプラスなのかな?」ウエスト58センチ、太もも59センチの上原わかながムチムチボディを肯定できるようになった理由【2023年リングデビュー】
NEWSポストセブン