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2021年内の承認申請を検討 開発進む国産の「コロナ治療飲み薬」への期待

来年3月までに国内外でコロナ治療薬1000万人分の供給体制を整える方針を明らかにした塩野義製薬(時事通信フォト)

来年3月までに国内外でコロナ治療薬1000万人分の供給体制を整える方針を明らかにした塩野義製薬(時事通信フォト)

 いまだに新型コロナウイルスワクチンを打てない人がいる一方、河野太郎ワクチン担当相は8月31日、新型コロナウイルスワクチンの「3回目接種」について、「医療従事者については11月以降、高齢者は来年2月以降に打ち始めることになる」と、発言。すでに3回目接種に向けた動きが現れ始めている。ただ、別の意見もある。

「新型コロナ対策としてワクチンに傾倒している状況のなかで、今、ワクチンの3回目接種を検討するよりも前に、『治療薬』の承認や臨床試験が急務とされています」

 そう語るのは医学博士で防災・危機管理アドバイザーの古本尚樹氏だ。

 塩野義製薬は8月25日、開発中の新型コロナウイルス治療薬について、来年3月までに国内外で1000万人分の供給体制を整える方針を明らかにした。国内では年内に100万~200万人分の供給体制を整備する予定だという。塩野義製薬に訊ねると、こう答えた。

「今後予定する第2段階の治験での有効性と安全性が明確に確認できれば、長期の安全性モニタリングを条件とした承認(条件付き早期承認)を目指して、2021年内の承認申請を検討しています。

 治験結果次第ですが、感染初期の患者に対して1日1回5日間の経口での服用で、安全で有効な治療薬の開発を目指しています」(広報部)

 現在、国内で承認されている軽症者向けの治療薬は2種類の抗体をまぜて点滴する「抗体カクテル療法」(中外製薬)のみとなっている。

 塩野義の新薬候補は、感染初期に服用することで、重症化の抑制と発熱や咳などの症状改善を狙っているが、「飲み薬」であることも利点だという。

「抗体カクテル療法は点滴薬のため、医療機関でドクターチェックのもとでの投与になりますが、飲み薬であれば自宅で簡単に服用できます。自宅で経口薬で治療することができれば、病院のベッドも重症者に空けることができる。現在の医療の逼迫抑制には自宅療養で回復できる体制を整えることが重要であり、軽症者などを対象とした飲み薬タイプの治療薬の実用化は、その体制を整えることにも貢献できると考えています」(同前)

 同社は「あくまで感染の予防はワクチン接種が基本」とするが、それでも感染初期に自宅で服用できる治療薬があれば、安心できる。

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