人生の最後に自身の死生観を伝えたかったのだろう。
その後、樹木さんは退院した。回復したからではない。住み慣れた自宅で最期の時間を過ごすためだった。
退院の日、浅田も樹木さんの自宅を訪ねた。帰宅して翌朝。娘の内田也哉子(45才)から電話があり、樹木さんが旅立ったことを告げられた。
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「美代ちゃん、映画を観に行こうよ」──こんなふうにいまにも樹木さんから電話がかかってきそうだと浅田は言う。
「これほど長く色濃くご縁が続いたのは、互いに“嘘のない関係”だったから。希林さんは私の前では常に本心を見せてくれていました。
いま、希林さんに伝えたいのは感謝の言葉ですと言いたいけれど……でも、本当は会いたい。子供じみた願いかもしれないですが、また会って、話がしたいです」
※女性セブン2021年9月23日号