藤井

藤井道人さんは、ヤクザという非日常で極端な存在を普遍的に描く

発売前に地上波ドラマ化

『ムショぼけ』は小説の発売前に地上波の連続ドラマ化が決まったという異例の作品だ。

 藤井さんが手がけた、綾野剛主演映画『ヤクザと家族 The Family』(2021年1月公開)を沖田さんが監修した縁で2人は知己を得たという。今回のドラマ『ムショぼけ』(今年10月よりABCテレビ・テレビ神奈川にて放送開始)には、藤井さんが企画プロデュースとして関わっている。

藤井「沖田さんから小説の構想を聞いたのはいまからちょうど1年前、’20年の夏でした。

 世の中にはアウトローやヤクザを、バイオレンスでシリアスに描く作品は山ほどある。でも、“本物”の経歴を持つ沖田さんが、元ヤクザを、ユーモアやコミカルさも織り交ぜながら、温かいヒューマンコメディーとして描くのは絶対におもしろい企画だと思い、すぐにドラマ化を提案しました。いままでにない、まったく新しい作品になるなと」

沖田「ヤクザは多くの人には非日常であり、極端な存在でしょう。でも、もちろん人間であり、いろんなやつがいて、恋もすれば悩みもする。賢いやつもいれば、アホもおる」

藤井「この作品は、“人生をやり直す物語”だと思っています。たしかに社会の底辺からのスタートですが、家族がいて、仲間がいて、まっすぐに生きていける。極端な存在である元ヤクザ者の物語なのに、普遍的な人間のやり直し方が描かれていることには、正直、驚いています」

沖田「厳しい時代やけど誰しも必死にやれば生きていけないなんてことはないんです」

 笑って、泣いて、一服の切なさが残る異色作。秋の夜長にふさわしい一作だ。

撮影/名和真紀子

※女性セブン2021年9月23日号

ドラマ『ムショボケ』の主演は実力派の名優・北村有起哉。キャストには板尾創路はじめ個性派俳優が顔を揃えた。今年10月よりABCテレビ・テレビ神奈川にて放映開始(C)ABC

ドラマ『ムショボケ』の主演は実力派の名優・北村有起哉。キャストには板尾創路はじめ個性派俳優が顔を揃えた。今年10月よりABCテレビ・テレビ神奈川にて放映開始(C)ABC

関連キーワード

関連記事

トピックス

林家ペーさんと林家パー子さんの自宅で火災が起きていることがわかった
《部屋はエアコンなしで扇風機が5台》「仏壇のろうそくに火をつけようとして燃え広がった」林家ぺー&パー子夫妻が火災が起きた自宅で“質素な暮らし”
NEWSポストセブン
1年ほど前に、会社役員を務める元夫と離婚していたことを明かした
《ロックシンガー・相川七瀬 年上夫との離婚明かす》個人事務所役員の年上夫との別居生活1年「家族でいるために」昨夏に自ら離婚届を提出
NEWSポストセブン
林家ペーさんと林家パー子さんの自宅で火災が起きていることがわかった
「パー子さんがいきなりドアをドンドンと…」“命からがら逃げてきた”林家ペー&パー子夫妻の隣人が明かす“緊迫の火災現場”「パー子さんはペーさんと救急車で運ばれた」
NEWSポストセブン
豊昇龍
5連勝した豊昇龍の横綱土俵入りに異変 三つ揃いの化粧まわしで太刀持ち・平戸海だけ揃っていなかった 「ゲン担ぎの世界だけにその日の結果が心配だった」と関係者
NEWSポストセブン
“高市潰し”を狙っているように思える動きも(時事通信フォト)
《前代未聞の自民党総裁選》公明党や野党も“露骨な介入”「高市早苗総裁では連立は組めない」と“拒否権”をちらつかせる異例の事態に
週刊ポスト
韓国アイドルグループ・aespaのメンバー、WINTERのボディーガードが話題に(時事通信フォト)
《NYファッションショーが騒然》aespa・ウィンターの後ろにピッタリ…ボディーガードと誤解された“ハリウッド俳優風のオトコ”の「正体」
NEWSポストセブン
立場を利用し犯行を行なっていた(本人Xより)
【未成年アイドルにわいせつ行為】〈メンバーがみんなから愛されてて嬉しい〉芸能プロデューサー・鳥丸寛士容疑者の蛮行「“写真撮影”と偽ってホテルに呼び出し」
NEWSポストセブン
佳子さまを撮影した動画がXで話題になっている(時事通信フォト)
《佳子さまどアップ動画が話題》「『まぶしい』とか『神々しい』という印象」撮影者が振り返る “お声がけの衝撃”「手を伸ばせば届く距離」
NEWSポストセブン
交際が報じられた赤西仁と広瀬アリス
《赤西仁と広瀬アリスの海外デートを目撃》黒木メイサと5年間暮らした「ハワイ」で過ごす2人の“本気度”
NEWSポストセブン
個別指導塾「スクールIE」の元教室長・石田親一容疑者(公式サイトより※現在は削除済み)
《15歳女子生徒にわいせつ》「普段から仲いいからやっちゃった」「エスカレートした」“やる気スイッチ”塾講師・石田親一容疑者が母親にしていた“トンデモ言い訳”
NEWSポストセブン
秋場所
「こんなことは初めてです…」秋場所の西花道に「溜席の着物美人」が登場! 薄手の着物になった理由は厳しい暑さと本人が明かす「汗が止まりませんでした」
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 「高市総理を阻止せよ」イカサマ総裁選の裏ほか
「週刊ポスト」本日発売! 「高市総理を阻止せよ」イカサマ総裁選の裏ほか
NEWSポストセブン