食育、生き餌、昆虫、そして動物虐待。これらの線引きはどのように捉えるべきか? 動物虐待問題に造詣が深い弁護士の寺林智栄氏は、「動物愛護法44条1項は、『愛護動物をみだりに殺し、又は傷つけた者は5年以下の懲役または500万円以下の罰金に処する』と定めています。そして、『みだりに殺す』とは、正当な理由あるいは正当な必要性なく殺すことを言います」と解説した上で、前述の動画に対する私見を述べた。
法律違反に当たる動画の「条件」
「爬虫類は、ネズミなどを捕食する食性を持っていますし、人間も豚肉を食べます。そうすると、生き餌動画や『100日後に食われるブタ』は、動物愛護法違反に当たらないと言えそうです。
しかし、小動物が恐怖におののく表情を楽しむかのような演出を加えて爬虫類等の生き餌とすることや、『カルビ』などといった名前を付けて豚を飼い、食肉処理するまでの過程をカウントダウンして最後に殺害することは、殺すまでの過程を楽しむものであり、正当な理由も正当な必要もない殺害にあたると言えるでしょう。なお、『100日後に食われる豚』については、あくまでフィクションでしたが。
上記のような生き餌動画などは、動物愛護法違反に該当すると思われます」(寺林氏)
また、昆虫同士を戦わせるといった内容の動画については、このように指摘する。
「動物愛護法上の『動物』には、昆虫は含まれていないと考えられ、したがって、これらの動画については、生き餌動画のような動物愛護法上の問題は発生しません。このような残虐動画を直接的に規制する法令もありません。
ですが、唐辛子を食べさせたり、一方が死ぬまで昆虫同士を戦わせる動画は残虐なものであり、見る人が多大な精神的な苦痛を覚えることも少なくありません。生き餌動画の件もそうですが、このように生物の命をもてあそぶような動画については、動画サイトの運営側が、収益化できないように規約を厳しくしていくことにより、減少させ最終的に消失させることが求められると考えます」(寺林氏)