国内

ジェネリック「儲けのカラクリ」 医師は処方箋書くだけでボーナス

ジェネリックを処方すると…(イメージ)

ジェネリックを処方すると…(イメージ)

 ジェネリック医薬品(後発医薬品)をめぐって、昨年以降、その安全性に疑いの目が向けられる事態が相次いで発生した。

 富山に本社があるジェネリック大手「日医工」では、出荷検査で不合格となった錠剤を取り換えて再試験を行ない、錠剤を砕いて再加工するなどの不正が発覚した。福井県の医薬品製造「小林化工」では工場担当者のミスでジェネリックの経口抗真菌剤「イトラコナゾール錠」に睡眠導入剤の成分が混入していた。両社とも今年になり、業務停止命令の処分を受けた。

 それでも、患者がジェネリックを服用する機会は増え続けている。医療費削減を目指す政府は2013年、ジェネリックを普及させるロードマップを作成した。その甲斐あってか2013年に46.9%だった使用割合は、2020年9月時点で78.3%に増加している。

 なぜ医師や薬剤師はジェネリックを勧めるのか。大きな要因となっているのが、“ボーナス”を受け取ることができる「後発医薬品使用体制加算制度」だ。薬剤師の宇多川久美子氏が指摘する。

「病院や薬局がジェネリックを処方する割合に応じて加算点数を受け取れる制度です。ジェネリックを処方する割合が国の定めた基準を満たした病院や薬局には、診療や調剤報酬の保険点数(1点=10円)が加算されます。

 診療報酬は通常2年に1度改定されますが、その度にジェネリックの使用割合が上がると点数が高くなり、逆に使わないと点数が低くなるように改定されています。現在の病院の外来診療では、処方箋の受け付け1回につきジェネリックの割合が70%以上だと報酬として加算されます」

 薬局についても、別掲図のような加算がある。

「一方で、ジェネリックの割合が40%を下回ると2点減点される規定があります。この規定も2020年3月までは“20%以下だと減点”だった基準が改定で倍に上がりました」(宇田川氏)

 別掲図の保険点数だけを見ると、ボーナス点が高い薬局に有利な制度に見えるが実態は異なる。薬剤師の深井良祐氏はこう話す。

「ジェネリックは先発薬より3~5割も安く、ボーナス点数があるとはいえ、仕入れ値と売値(薬価)の差額である『薬価差益』はそれほど大きくなりません。薬局はさほど儲からないのですが、減点措置もあるため国の流れに従わざるを得ない状況です」

関連キーワード

関連記事

トピックス

“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
《ママとパパはあなたを支える…》前田健太投手、別々で暮らす元女子アナ妻は夫の地元で地上120メートルの絶景バックに「ラグジュアリーな誕生日会の夜」
NEWSポストセブン
グリーンの縞柄のワンピースをお召しになった紀子さま(7月3日撮影、時事通信フォト)
《佳子さまと同じブランドでは?》紀子さま、万博で着用された“縞柄ワンピ”に専門家は「ウエストの部分が…」別物だと指摘【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
一般家庭の洗濯物を勝手に撮影しSNSにアップする事例が散見されている(画像はイメージです)
干してある下着を勝手に撮影するSNSアカウントに批判殺到…弁護士は「プライバシー権侵害となる可能性」と指摘
NEWSポストセブン
亡くなった米ポルノ女優カイリー・ペイジさん(インスタグラムより)
《米ネトフリ出演女優に薬物死報道》部屋にはフェンタニル、麻薬の器具、複数男性との行為写真…相次ぐ悲報に批判高まる〈地球上で最悪の物質〉〈毎日200人超の米国人が命を落とす〉
NEWSポストセブン
和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
「プラトニックな関係ならいいよ」和久井被告(52)が告白したキャバクラ経営被害女性からの“返答” 月収20〜30万円、実家暮らしの被告人が「結婚を疑わなかった理由」【新宿タワマン殺人・公判】
NEWSポストセブン
松竹芸能所属時のよゐこ宣材写真(事務所HPより)
《「よゐこ」の現在》濱口優は独立後『ノンストップ!』レギュラー終了でYouTubeにシフト…事務所残留の有野晋哉は地上波で新番組スタート
NEWSポストセブン
山下市郎容疑者(41)はなぜ凶行に走ったのか。その背景には男の”暴力性”や”執着心”があった
「あいつは俺の推し。あんな女、ほかにはいない」山下市郎容疑者の被害者への“ガチ恋”が強烈な殺意に変わった背景〈キレ癖、暴力性、執着心〉【浜松市ガールズバー刺殺】
NEWSポストセブン
英国の大学に通う中国人の留学生が性的暴行の罪で有罪に
「意識が朦朧とした女性が『STOP(やめて)』と抵抗して…」陪審員が涙した“英国史上最悪のレイプ犯の証拠動画”の存在《中国人留学生被告に終身刑言い渡し》
NEWSポストセブン
早朝のJR埼京線で事件は起きた(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」に切実訴え》早朝のJR埼京線で「痴漢なんてやっていません」一貫して否認する依頼者…警察官が冷たく言い放った一言
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン
10年に及ぶ山口組分裂抗争は終結したが…(司忍組長。時事通信フォト)
【全国のヤクザが司忍組長に暑中見舞い】六代目山口組が進める「平和共存外交」の全貌 抗争終結宣言も駅には多数の警官が厳重警戒
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《前所属事務所代表も困惑》遠野なぎこの安否がわからない…「親族にも電話が繋がらない」「警察から連絡はない」遺体が発見された部屋は「近いうちに特殊清掃が入る予定」
NEWSポストセブン