一方の達夫氏は安倍氏が派閥に君臨している限り、自分の出番を邪魔されることが分かっているから、この機会に若手を結集して安倍氏に世代間闘争を仕掛けた。最大派閥の細田派では、達夫氏に近い若手と父・康夫氏シンパの中堅・ベテランが一定の勢力を占めており、安倍氏に対抗する力もある。
危機感を募らせた安倍氏は派内を猛烈に引き締めに出たという。
「達夫の旗揚げを聞いて安倍さんの目の色が変わった。それまでは高市応援といっても総裁選は高みの見物だったが、自分の力を見せつけようと、総裁選に深く介入していった」(前出・安倍側近)
派内は安倍系と福田系とに大きな亀裂が入った。安倍氏のキングメーカーとしての力の源泉は、最大派閥・細田派の「数の力」だ。細田派が分裂状態になれば、誰が総裁選に勝利しようと、安倍氏の力は衰退に向かう。
※週刊ポスト2021年10月8日号