「近年の原田知世さんのお芝居でまず思い出すのは、NHK朝ドラ『半分、青い。』で演じた律(佐藤健)の母親役。息子が『和子さん』と名前呼びすることに全く違和感がなく、少女のまま大人になったような人で、登場シーンで出産直前にミステリー小説の怖いシーンを微笑みながら読んでいるというユニークさ、不思議さがありました。ピアノを弾いたりお菓子を焼いたりするお上品なお母さんに見えて、唐突にモノマネを披露するようなお茶目さがあったり、物事に動じないたくましさもあったり。こうした柔らかさ、上品さの中に見える芯の強さはまさにハマり役でした。
『あなたの番です』(日本テレビ系)のミステリー小説好きでしっかり者の姉さん女房・菜奈さんも、イメージが近いですね。どちらもふんわりした優しさ・柔らかさがあるように見え、強く聡明で、部分的に強すぎてエキセントリックさを感じさせるような精神的タフさもある。いつまでも少女のような愛らしさゆえの妖精のような不思議感は、生と死の狭間を軽やかに飛び越えそうな雰囲気もありますし、そうした印象から傷ついた人々が現実を忘れ、苦々しい思いや辛い記憶などを置いてくることができる場所にピッタリなのかもしれません」(田幸氏)
これまで、いい意味で視聴者の予想を裏切ってきたテレ東。今回の原田知世のママ役は、停滞するコロナ禍をほっこり照らす新機軸のドラマとなるかもしれない。