スポーツ

スプリンターズS ファストフォースの「2連覇配合」が気になる

中山競馬場

中山競馬場の芝1200mは厳しい流れになることが多い

 いよいよ秋のGI戦線が開幕する。第一弾の舞台は数々のドラマを生んできた電撃の中山芝1200m。競馬ライターの東田和美氏が考察した。

 * * *
 今年3月の高松宮記念は、勝ったダノンスマッシュから9着のセイウンコウセイまでが0.5秒差。着差にすると2馬身半ほどだ。スプリント重賞ではよくあることで、2017年のスプリンターズSでも、勝ったレッドファルクスから16着のネロまでは0.7秒しか離れていなかった。

 そんな闘いだから、道中のちょっとした不利でも致命的だし、3コーナーでの位置取りなど、そのときの状況一つで順位は変わる。過去実績は着順ではなく着差で考えたい。

 過去10年に出走した日本馬のおよそ3分の1はセントウルSからの参戦で5勝2着4回3着3回というから、ローテーションとして王道。連勝しているのは2018年のファインニードルと2019年のタワーオブロンドン。

 次に多いのがキーンランドCからの参戦で2勝2着1回3着5回と8頭で、両方勝ったのは2011年のカレンチャンだけ。

 出走馬の半数以上は、このどちらかを叩いての参戦だが、なぜかセントウルS組とキーンランド組のワンツーというのはない。

 この時期に行なわれるようになった2000年以降、前走から連勝したのは上記の他5頭だけ。スプリント戦線で勝ち続ける難しさがわかるが、逆に前走でちょっとした弱さを見せても僅差ならば十分巻き返せる。中長距離GⅠでは何度走っても力差がレースに出るケースが多いが、スプリント路線ではよほど抜きん出ている馬がいない限りは巻き返しが可能だ。

 ただし「負け方」にもよる。2012、2013年連覇のロードカナロアは、セントウルSではどちらも圧倒的人気を裏切る2着だったが、勝ち馬とは同タイムだった。2015年のストレイトガールはセントウルSで4着だったがやはりタイムは勝ち馬と同じ。2014年に13番人気で勝ったスノードラゴンも、前走キーランドSで8着だったが着差は0.3秒だった。2着馬でも2011年のパドトロワはキーンランドC3着でも同タイム、2012年カレンチャンはセントウル4着でも0.1秒差だった。

 人気の中心は高松宮記念の1、2着馬、ダノンスマッシュとレシステンシアだろう。しかし、ダノンスマッシュは前走思うような走りができなかった香港の影響がどうか。レシステンシアは前々走、走りなれているはずのマイルで0.9秒も離された。

 出走馬を見て目を引くのはジャンダルム。なんといっても2002年にスプリンターズSを、2003年に高松宮記念を制したビリーヴの子だ。北米リーディングサイアーであるキトゥンズジョイ産駒、初仔のファリダット以来、アメリカのそうそうたる種牡馬にこだわり続けた成果がついに花開きそう。前走セントウルSでは出遅れながらも、上がり32.6秒の脚でレシステンシアから0.2秒差。スタートが五分ならばまとめて差し切れる。

 しかしそれ以上に気になってしょうがないのはファストフォース。なにしろ父ロードカナロアで母の父がサクラバクシンオー。このレース2連覇どうしの“スプリンターズS配合”だ。

 デビューは遅く3歳6月、しかも芝2400m! このレースを勝ったのは、あのメロディーレーンでこの時340キロ。516キロのファストフォースは先行したものの直線で失速。大外から矢のように飛んできたメロディーレーンから5秒も離された12着だった。

 この後ファストフォースはダートを走ったりマイルまで距離短縮したりするが6戦未勝利でホッカイドウ競馬に転出。門別のダートで4戦3勝の成績をあげて出戻ってきた。

関連キーワード

関連記事

トピックス

部下と“ラブホ密会”が報じられた前橋市の小川晶市長(左・時事通信フォト)
《「策士」との評価も》“ラブホ通いすぎ”小川晶・前橋市長がXのコメント欄を開放 続投するプラス材料に?本当の狙いとは
NEWSポストセブン
女性初の首相として新任会見に臨んだ高市氏(2025年10月写真撮影:小川裕夫)
《維新の消滅確率は90%?》高市早苗内閣発足、保守の受け皿として支持集めた政党は生き残れるのか? 存在意義が問われる維新の会や参政党
NEWSポストセブン
2021年ドラ1右腕・森木大智
《悔しいし、情けないし…》高卒4年目で戦力外通告の元阪神ドラ1右腕 育成降格でかけられた「藤川球児監督からの言葉」とは
NEWSポストセブン
滋賀県を訪問された秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年10月25日、撮影/JMPA)
《すぐに売り切れ》佳子さま、6万9300円のミントグリーンのワンピースに信楽焼イヤリングを合わせてさわやかなコーデ スカーフを背中で結ばれ、ガーリーに
NEWSポストセブン
注目される次のキャリア(写真/共同通信社)
田久保真紀・伊東市長、次なるキャリアはまさかの「国政進出」か…メガソーラー反対の“広告塔”になる可能性
週刊ポスト
送検のため奈良西署を出る山上徹也容疑者(写真/時事通信フォト)
《安倍晋三元首相銃撃事件・初公判》「犯人の知的レベルの高さ」を鈴木エイト氏が証言、ポイントは「親族への尋問」…山上徹也被告の弁護側は「統一教会のせいで一家崩壊」主張の見通し
NEWSポストセブン
この笑顔はいつまで続くのか(左から吉村洋文氏、高市早苗・首相、藤田文武氏)
自民・維新連立の時限爆弾となる「橋下徹氏の鶴の一声」 高市首相とは過去に確執、維新党内では「橋下氏の影響下から独立すべき」との意見も
週刊ポスト
元・明石市長の泉房穂氏
財務官僚が描くシナリオで「政治家が夢を語れなくなっている」前・明石市長の泉房穂氏(62)が国政復帰して感じた“強烈な危機感”
NEWSポストセブン
新恋人のA氏と腕を組み歩く姿
《そういう男性が集まりやすいのか…》安達祐実と新恋人・NHK敏腕Pの手つなぎアツアツデートに見えた「Tシャツがつなぐ元夫との奇妙な縁」
週刊ポスト
女優・八千草薫さんの自宅が取り壊されていることがわかった
《女優・八千草薫の取り壊された3億円豪邸の今》「亡き夫との庭を遺してほしい」医者から余命宣告に死の直前まで奔走した土地の現状
NEWSポストセブン
左から六代目山口組・司忍組長、六代目山口組・高山清司相談役/時事通信フォト、共同通信社)
「六代目山口組で敵う人はいない」司忍組長以上とも言われる高山清司相談役の“権力” 私生活は「100坪豪邸で動画配信サービス視聴」も
NEWSポストセブン
35万人以上のフォロワーを誇る人気インフルエンサーだった(本人インスタグラムより)
《クリスマスにマリファナキットを配布》フォロワー35万ビキニ美女インフルエンサー(23)は麻薬密売の「首謀者」だった、逃亡の末に友人宅で逮捕
NEWSポストセブン