横浜の監督時代、戸叶尚投手(右)に交代を告げる権藤博監督。ここでも「いかんですよ」と言っていたのか?(時事通信フォト)

横浜の監督時代、戸叶尚投手(右)に交代を告げる権藤博監督。ここでも「いかんですよ」と言っていたのか?(時事通信フォト)

 今シーズンもリーグワースト失策数の阪神に苦言を呈した。オブラードに包む解説者が多い中、権藤氏はハッキリとモノ申す。その姿勢は、古巣の中日に対しても変わらない。1回裏1死一塁で、中日が2番・高松にバントを指示したものの結局は打たせると、采配を疑問視した。

権藤氏:打たせるなら最初から打たせればいいんですよ。
斎藤アナ:そうですね(笑)。
権藤氏:バント失敗したら打たせて。ま、そこいくと(1回の同じケースで)阪神は徹底して打たせましたからね。

 古巣だろうが、そうでなかろうが、言うべきことは言うのである。3回裏、中日の1番・京田陽太が死球で歩くと、当てた投手ではなく避けない打者を責めた。

権藤氏:まあ、ピッチャー頭下げてますけど、あれくらい避けてくれよ、つってね。
斎藤アナ:なるほど、ええ、ええ(笑)。
権藤氏:そんな厳しいところじゃないですもんね。
斎藤アナ:はい(笑)。
権藤氏:ただ、バットを出すときに膝を引かなかったために、あそこに当たってるだけで。

 誰に遠慮することもなく、喋り続ける権藤氏に斎藤アナは苦笑いするしかない。この回が終わり、中日の先発投手である笠原がベンチに帰ると、栗原健太打撃コーチが何やら話し掛けていた。

権藤氏:まあ、バッターの見方からアドバイスしたんじゃないですか。(阪神打線が)あれだけ合ってないんだから、思い切っていきなさいって。バッティングコーチがピッチャーを見るっていうのはすごくいいんですよ。
アナ:ああ、そうなんですね。ええ、ええ。(中略)ということは、権藤さんはバッターのほうを何かアドバイス……。
権藤:アドバイスはしないですけど。
アナ:ええ(笑)。

 権藤氏は相手に合わせて、取り繕うことなどしない。阪神1点リードの6回裏、中日が同点のチャンスを迎えると、斎藤アナはこう実況した。

斎藤アナ:(先発の)笠原祥太郎に、あるいは白星をプレゼントするきっかけになるかどうか。
権藤氏:まあ、白星の前にまずは同点にしなきゃいかんですけどね。
斎藤アナ:そうですね(笑)。
権藤氏:気が早いんですよ。
斎藤アナ:失礼いたしました。

自分自身を律して「いかんです」

「いかんです」は選手だけでなく、実況アナにも使われていた。この日、権藤氏は実に16回も「いかんですよ」(「いかんのですよ」「いかん」など類型含む)と発していた。どんな対象に向けていたのか。

4回:中日のバッテリー(又吉克樹・木下拓哉4)
4回:中日の打撃(高橋周平2、ビシエド、木下拓哉)
4回:阪神の打撃(佐藤輝明3、大山1)
1回:阪神の守備(糸原健斗)
1回:阪神全体
1回:実況アナ
1回:自分自身

「いかんですよ」は基本的に叱咤に使われるが、そうではない場合も1つだけあった。5回裏、「(今日の試合は)いい当たりが1本もないですもんね」と言った後、「高橋周平のファーストゴロがまあまあいい当たりだなって。まあ、ゴロでいい当たりだななんて言っちゃいかんですけど」と自分自身を律して「いかんです」と言っていた。

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