小林よしのり氏(左)と井上正康氏・大阪市立大学名誉教授(写真:太田真三)

小林よしのり氏(左)と井上正康氏。日本が陥る「コロナ全体主義」に警告を発する(写真:太田真三)

小林:ウイルスの遺伝子を組み込むことで、生物は進化してきた。受精卵の段階でさまざまなウイルスが組み込まれ、ほとんどが死んだんでしょうが、その中から生き残り、さらに生存に有利な機能を持ったものだけが生き残ってきた。

 たとえば、ほ乳類が持つ胎盤は、大昔にレトロウイルスが遺伝子に組み込まれて生まれたもので、母親の免疫機能が胎児を異物として攻撃するのから守っている。

井上:そうですね。ウイルスのおかげで、恐竜からほ乳類に進化できた。

小林:ネズミ程度の大きさだった最初のほ乳類が胎盤を持つことで、体の中で子供を保護して移動できるようになり、地球上で勢力を拡大でき、そこからさらにさまざまに進化できたということですよね。

 勉強して初めて、ウイルスとは何か、なぜ動物はウイルスに感染するのかが、ようやくわかった。ウイルスに感染するのは、進化のために必要だからですね。

井上:現実に、新型コロナウイルスのRNA(リボ核酸)が人の細胞のゲノム(DNAの遺伝情報)に組み込まれているとする論文が、今年の4月にPNAS(米国科学アカデミー紀要)に出ています。

 回復したコロナ患者が、その後も長期にわたって検査で陽性になったり、いったん陰性なったのにしばらくしたらまた陽性になったりするという現象が起きていて、それは再感染しているのではなく、コロナウイルスのRNAが逆転写されて、人の細胞のDNAに組み込まれ、ウイルスを産生しているのではないかという仮説を検証したものです。これは非常に物議を醸した論文で、まだ結論は出ていませんが、非常に興味深いです。

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