今回の選挙でも冒頭の文書にある通り、自民党山口県連は杉田氏をただ1人、比例単独候補として擁立した。ただし、今回はほかの県の選挙区事情もあって、中国ブロックの比例単独トップ掲載が保障される状況ではなかった。10月18日夜に筆者が入手した発表用の名簿を見ても、杉田氏の掲載順位は比例単独候補として3番目となっている。
前回よりも下になったとはいえ、中国ブロックの比例で自民党が5議席を獲得した2017年の総選挙と同水準の結果となれば当選圏内となる位置には残った。その一方で驚かされたのは、河村建一氏の処遇である。10月15日の時点では「比例中国ブロック」での公認と発表されていたのが、急転直下で「比例北関東ブロック」の比例単独候補として2番目の位置に入ることになったのだ。安倍元首相の意向もあって、山口県連が急きょ、建一氏の比例公認に抗議し、杉田氏の名簿上位掲載を強くお願いした結果、建一氏が北関東ブロックへの押し出されることになったのではないか。
自民党山口県連は文書について「党本部の選対のほうに提出していたのは事実です」(事務局長)とだけ回答した。
有権者に信を問う小選挙区での出馬とは異なり、比例単独は党の論理で当選させることができる。社会の多様性に対して問題発言を繰り返してきた杉田氏を強く推すという山口県連の要望を、有権者はどう見るだろうか。
■取材・文/相澤冬樹(ジャーナリスト)