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水谷豊の凄さ 台本は「さっと1回読んだ後、お風呂で反芻」で覚える

現場でも台本を手にしているところは見ないという(時事通信フォト)

現場でも台本を手にしているところは見ないという(時事通信フォト)

『相棒』は2000年の放送開始以来、高視聴率を記録し続け、10月に「season20」に突入した。今回も水谷豊(69)が演じる杉下右京の切れ者ぶりが際立っている。2016年まで『相棒』シリーズの演出を務めた映画監督の和泉聖治氏が語る。

「元々は『土曜ワイド劇場』の単発ドラマとして企画されたんですが、一発目の視聴率が20%超えてね。手応えがあって、シリーズ化しようってなった時も、豊さんは『やっぱりそうなるよね』って、すでに準備ができていました。

『相棒』は豊さんと作り上げた作品ですが、彼の凄さは右京さながら。15ページ以上ある長台詞を一言一句違わずに全て覚えてくる。僕の演出は緊張感を持続させるために15分、20分という長回しもザラですが、一度豊さんにどうやって台詞を覚えているのか聞いたら、『さっと一回読んだ後、お風呂で反芻するくらいかな』って。天才ですよ。現場でも台本を手にしているところは見たことがないし、努力する姿を見せない。右京役がハマるわけです」

「season12」まで刑事・三浦信輔役で出演していた大谷亮介(67)は、そんな水谷を間近で見てきた。

「舞台の上で声を張り上げる演劇に慣れていた私に、水谷さんは映像の世界ではよりナイーブな芝居が求められると、テレビ撮影での立ち位置からリアクションのニュアンスまで、テレビドラマの演技の基本を教えてくれました。僕の鼻息がマイクに入ってしまった時、『そんなに荒くしちゃダメだよ』とさりげなく助言をもらったり、共演者の演技をここまで細かく見ているのかと驚きました。

 水谷さんはご自身の演技がどうこうという次元ではなく、常に作品全体の世界観を創り上げていくために努力していた。気さくな方でしたが、余計なことはあまりおっしゃらずに眼の輝きでみんなにエールを送っている。そんな方でした」(大谷)

※週刊ポスト2021年10月29日号

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