新築マンション価格は今後も上昇する
しかも、コロナ禍で家族全員の在宅時間が長くなっていることもあり、ワークスペースなど、これまでよりひと回り、ふた回り広い住まいが求められるようになっている。かつ、自分たちの将来の生活や住まいについて考える機会が増え、住まいの買い替え意欲が高まっているといわれる。
そうした事情もあって、マイホーム、なかんずく安くて広い住まいが手に入る可能性のある中古マンションへの関心が高まっているという事情もありそうだ。
このように、首都圏中古マンション価格上昇の背景にはコロナ禍という特殊事情が絡んでいるとはいえ、ベースとしては新築マンションの価格上昇がある。
特に、首都圏では新築マンション適地が限られ、都心やその周辺では希少性が高まっており、土地の仕入れ値が上がり続けている。かつ、“木材ショック”や“鋼材ショック”といわれる建築資材の不足や高騰が続いており、新築マンションは上がることはあっても、下がることは考えにくい情勢だ。
一方、中古マンションには価格の安さのメリットがあり、さらに中古のほうが格段に探しやすく、自分たちに合った物件を見つけやすいといった事情を考慮すると、これからも中古マンション人気が続くであろうことは疑いない。そうである限り、中古マンションも新築マンションを追いかける形で価格上昇が当分続くことになるのではないだろうか。
都心マンションの資産価値は10年で2%上昇
とはいえ、この価格上昇、エリアによって動きはかなり異なる。
民間調査機関の東京カンテイでは、毎年「中古マンションリセールバリュー」を調査している。これは10年前に新築分譲されたマンションが、現在の中古マンション市場においていくらで取り引きされているかを比較して数値を割り出したもの。
たとえば、分譲時の価格が平均5000万円だった駅の、現在の中古市場の取引価格の平均が4000万円であれば、リセールバリューは80%で、6000万円なら120%になる。リセールバリューの数値が大きいほど値上がりし、資産価値の高いエリアということになる。
その首都圏における2020年のリセールバリューの平均は101.9%だった。つまり、10年間で平均すると2%資産価値が上がっていることになるが、別掲図2にあるように、100%以上のエリアは東京23区、なかでも山手線の内側や外周部分に集中している。
反対に、郊外部ではリセールバリューが80%、90%と、10年間で1割、2割資産価値がダウンしているエリアが多くなっている。
ちなみに、首都圏のリセールバリューのトップは東急東横線「代官山」駅の164.3%だった。